米景気ハードランディングの不安再燃で9月の米国株は調整か

 このコラムで毎週お伝えしている通り、世界の株式市場の最大の注目点は、急速に減速してきた米景気がソフトランディングするかハードランディングとなるか【注】にあります。

【注】米景気ソフトランディング・ハードランディング
◆ソフトランディング・シナリオ:米景気減速によってインフレが沈静化に向かい、米利上げの早期停止が視野に入る。米景気はリセッション(景気後退)入りすることなく持ち直し、緩やかな景気拡張が続く。
◆ハードランディング・シナリオ:米景気が減速しても高水準のインフレが続く。FRBは景気を犠牲にしてでもインフレ抑制を目指して急ピッチの引き締めを続ける。インフレと金利上昇を受けて、米景気がリセッション入りする。

 ソフトランディングの期待が高まると、米ナスダックが上昇して、世界の株式市場が上昇し、日経平均も買われます。ハードランディングの不安が高まると、ナスダックが下落して、日経平均も売られます。

ナスダック・日経平均の動き比較:2019年末~2022年8月26日

出所:QUICKより作成、2019年末を100として指数化

 ソフトランディングかハードランディングか、結論が出るまでかなりの時間を要すると思います。ただ、金融市場は、短期的にはどちらかの見方にかたよって一方通行の動きとなりがちです。

 ひとたびナスダックが急落すると、ハードランディングの見方が支配的になって世界株安が続きます。逆に、何かのきっかけでソフトランディングの期待が高まると、しばらく世界株高が続きます。

 上のグラフをご覧いただくと分かる通り、ナスダックは、昨年高値(11月19日の1万6,057円)から、今年の安値(6月16日の1万646円)まで▲33.7%下落しました。その間、米景気ハードランディングの不安で世界株安が続きました。

 今年の7~8月は一転して、米景気ソフトランディングの期待が高まり、ナスダックが急反発して、世界株高が進みました。

 ところが、8月26日のジャクソンホール・ショックによって、ハードランディングの不安が再燃しました。目先、ナスダックが売られる局面が続く可能性があります。