米国株で信用取引ができると、どんなメリットがあるのか?

 国内株の信用取引にも同様のことが言えるのですが、一般的に信用取引のメリットとして以下が挙げられます。

1)「レバレッジ」効果…手持ち資金以上の取引、取引金額の節約が可能になる
2)「売り建て」…株価の下落局面でも収益チャンスが生まれる
3)「回転売買」…1日に何度も取引が可能

 結論から言ってしまうと、「レバレッジ」よりも「回転売買」や「売り建て」が米国株信用取引で活用できる機会が多そうですが、これらの1~3について、以下で一つずつ見ていきたいと思います。

「レバレッジ」効果について…手持ち資金以上の取引、取引金額の節約が可能になる

 この後のルールでも触れますが、米国株信用取引では手持ち資金の約2倍の取引を行うことができます。例えば、現物取引で100株取引できる資金があれば、同じ資金で200株取引ができるというわけです。取引の規模が大きくなれば、それだけ得られる利益も大きくなる分、発生してしまう損失も同様に大きくなります。

 また、別の見方をすれば取引金額の節約も可能です。例えば、1万ドルの手持ち資金があり、買いたい銘柄も1万ドルだった場合、手数料などのコストを考慮しなければ、そのまま現物取引で買うことができますが、その時点で手持ちの資金を全て使ってしまうことになります。

 そこで、信用取引を活用すれば、1万ドルの株を半分の5,000ドルで買うことができ、残った5,000ドルで他の銘柄を取引したり、事態が急変した時の余裕資金にするなど、投資の選択肢を増やすことができ、資金効率は良くなります。

「売り建て」について…株価の下落局面でも収益チャンスが生まれる

 また、信用取引の「売り建て」を活用することで、相場の下落局面でも利益をねらうことが可能になります。売り建てとは、「証券会社から株券を借りて売却し、株価が安くなったところで、その売却代金を使って買い戻して返済する」という取引です。

 例えば、現在の株価が100ドルの銘柄Aを100株売り建てしようとします。その際、証券会社から100株借りて、銘柄Aを100ドルで売却し、この時点で、売却代金の1万ドルをいったん手にすることになります。

 その後、株価が80ドルまで下落したので、この値段で100株を買い戻して証券会社に返済します。これによって、売却代金の1万ドルと、株を返済するためにかかった買い戻しの費用8,000ドルの差額分の2,000ドルが手元に残り、それが利益になります。

 売り建ては、株価が下落するほど買い戻しの費用が少なくなり、利益が増えるというのがポイントです。現物株オンリーの方にとっては、「売り建て」に対して少しイメージしにくい面があるかもしれませんが、売り建てによって取引の自由度は大きくなりますし、信用取引におけるメリットの筆頭に挙げる人も多いです。

「回転売買」…1日に何度も取引が可能

 そして、信用取引にはレバレッジ以外にも別の資金効率の良さがあります。それが「回転売買」です。回転売買とは、「同じ資金で何回も取引を繰り返すこと」です。

 現物取引には「同じ資金を使って同じ銘柄を1日に何回も取引できない」というルールがあり、回転売買ができません。例えば、銘柄Aの株を1万ドルで買い、株価が上がったので、その日のうちに1万1,000ドルで売却します。

 そして、同じ日に「まだ株価が上がりそう」ということで、再び売却代金でA株を買おうとしてもできません。A株を買うには別途代金を用意する必要があります。

 信用取引を利用すれば、こうしたルールに縛られず、繰り返し売買することが可能になります。とりわけ、日本株のように1日の値幅制限のない米国株では、日本株以上に値動きが大きくなることも想定されるため、回転売買ができることは大きなメリットと言えます。

 ちなみに、なぜ現物取引では「1日に同じ資金で取引を繰り返すことができないのか?」ですが、同日に買いと売りの取引を行った場合、当然ながら受渡日も同じになります。すると、受渡日にやり取りする金額は、利益もしくは損失相当額のみの「差金分」で済むことになり、元手の資金が無くても取引が可能になってしまいます。

 そのため、きちんと「株を買う資金を持っていたよ」ということを示すため、同日に反対売買を行った時点で、買い付け代金を拘束する必要があるわけです。