賃金上昇は米雇用市場にバッドニュース?

 賃金上昇とインフレ上昇が止まらなければ、FRBは利上げを続けるしかない。最後は米経済がハードランディングしてようやくインフレも終息するともいわれています。景気が後退していく中でインフレが同時進行する「スタグフレーション」が発生するという、さらに悪い方向に進む可能性もあります。

 この最悪のシナリオを回避するには、労働力が増えることです。物価高など生活費の上昇による実質所得の減少がFIREでいったん引退した人々の仕事復帰を促し、その結果平均賃金が下がり、インフレが低下するかもしれない。

 もっとも、実質所得の減少が消費を抑え、雇用が縮小して働きたくても働くところがなくなってしまうことも起こりえる。

 将来のシナリオは一つではありません。前者のケースは緩やかな経済拡大が期待できますが、後者の場合は不況という結末が待っているのです。