長期的視野で「貯めながら増やす意義」を再確認

 図表1で示した日本株式と世界株式の長期パフォーマンスの格差は、日本と外国の経済成長や利益成長を巡る「期待の差」を反映した市場実績と考えられます。

 今後についても、長期的なファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)や成長期待を資産形成に取り込もうとするなら、日本株式だけでなく外国株式も積立投資の対象として検討していくほうが合理的と考えます。

 積立投資は、1回(定額)に必要とされる投資資金が比較的少額なことが多く、一度に多額の投資をするよりも、心の負担は小さいと考えられます。

 また、投資タイミング(買い時)を時間分散することで、市場の「マーケットリスク」(タイミングリスク)も分散できることになります。

 米国を中心に世界株式は2022年前半に約2割下落しました。7月に入り底打ちの兆候もみられますが、インフレ動向、金融引き締め、景気後退不安などを巡る不透明感はいまだ払拭(ふっしょく)されておらず、当面も株式市場の変動については予断を許しません。

 一方、株価が下落した場面で着実に「押し目買い」や「積み増し買い」を自動的に実践できる積立投資を実践するにあたっては、市場の変動に対し「ストレス」を感じる必要はありません。

 株式市場が下がっていれば、「安く買い増すことができる」くらいに思える冷静な姿勢が肝要となります。

 初心者だからこそ取り組みやすい資産形成方法として、積立投資(定時定額投資)を活用して貯めながら増やしていく意義と極意にあらためて注目いただきたいと思います。

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