IMFが米国の成長率見通しを大幅引き下げ

 IMF(国際通貨基金)は26日、米国GDP(国内総生産)成長率見通しを大幅に引き下げました。2022年の成長率を、4月時点の見通し+3.7%から+2.3%へ引き下げました。2023年についても、4月時点の見通し+2.3%から+1.0%まで大幅に引き下げました。インフレ・利上げによって、米景気が急速に減速することを織り込みました。

 2022年の米成長率見通しは大幅に引き下げられたとは言っても+2.3%なので、巡航速度の成長が続いていると言えます。ところが、2023年の見通し+1.0%は衝撃的です。米経済にとって2%台の成長は、これまで当たり前でした。

 2023年にもし1%しか成長しないとすると、それは米経済がかなり不況色の強い環境になることを意味します。IMFは、2023年に米国が景気後退に陥る可能性まで視野に入れていると考えられます。

 米国の見通しを含む、IMFの世界経済見通しは、以下の通りです。

IMFによる主要国・地域の成長率予測:2022年7月版

出所:IMF「世界経済見通し」2022年7月版 注:ASEAN5とは、インドネシア・マレーシア・フィリピン・タイ・ベトナムの5カ国

 上記予測の中で一番衝撃的なのが、2023年の米国成長率が1.0%に落ち込む予測です。それでも世界全体では、順調な成長が続く予測となっています。IMFは世界全体で2022年に+3.2%、2023年に+2.9%の成長率を予測しているからです。3%前後の成長が続くならば、世界経済は順調と言って良いことになります。

 米国が落ち込む分、アジアが高成長に復帰することで、世界の成長をけん引する予想となっています。中国は減速するものの2023年に4.6%成長を見込んでいます。インドは6.1%、ASEAN5は5.1%の高成長が続く予想です。