新華社通信「上半期2.5%増、4~6月プラス成長実現」の意味

 国家統計局による発表後、国営新華社通信は、「上半期2.5%増、第2四半期はプラス成長を実現」という見出しで速報記事を配信しました。日本メディアでは「0.4%増」が前面に出されていました。例として、日本経済新聞は速報として「中国、0.4%成長に失速 4~6月実質 ゼロコロナ直撃 『今年5.5%』難しく」という見出しで記事を配信しています。

 ポイントはなぜ新華社という当局の立場や意思を反映する国営の通信社がこのような見出しを付けたか、です。まず、4-6月の0.4%増ではなく、1-6月の2.5%増を見出しに付けた理由は、前者の数値が悪く、見栄えも良くない、中国経済は相当悪いという印象も拭えないからでしょう。仮に4-6月の数値が1-3月よりも良ければ、それを見出しにつけていたはずです。

 次に、私から見てより重要なのが、「プラス成長実現」という文言です。一言で言えば、経済がロックダウンによる打撃を受ける中で、プラス成長ですら困難だったという当局の心境がにじみ出ています。この統計を受けて、中国財政部の幹部に話を聞きましたが、「第2四半期の経済は低迷したが、ロックダウンなどの影響を考えれば織り込み済み。マイナスにならなかっただけマシ」と指摘していました。

 15日、統計発表と同時に記者会見に臨んだ国家統計局の付凌暉(フー・リンフイ)報道官は、「上半期、国際環境は複雑で厳しく、国内ではコロナ禍のショックを受ける中、経済成長は一定の影響を受けた。各方面による共同の努力の下、第2四半期の経済がプラス成長を保持したことは非常に難しかった」と述べています。

 新華社の見出しや同報道官の口調を眺めながら、私は、2020年の情景を思い出しました。当時、新型コロナウイルスが感染拡大する起点となった湖北省武漢市でロックダウンが実施されましたが、同年、中国経済はプラス成長(2.2%増)を実現。当局はそれを誇らしげに強調していたのです。

 実際に、習近平(シー・ジンピン)総書記、李克強(リー・カーチャン)首相は、4月以降「上海保衛戦の困難性は武漢保衛戦に勝るとも劣らない」と指摘してきています。要するに、武漢がロックダウンに陥った2020年のプラス成長は非常に困難であった、であれば、上海がロックダウンに陥った2022年第2四半期のプラス成長も同様に難しい作業になる、というのが当局の認識ということなのでしょう。