米国で警戒されていた6月CPIが発表された

 こうした中、米国市場で注目されていた6月のCPI(消費者物価指数)が13日に発表されました。CPI全体の前年同月比伸び率は事前予想平均(+8.8%/5月の実績:+8.6%)に対して+9.1%、CPIコア(変動の大きいエネルギーと食品を除く価格指数)の同伸び率は事前予想平均(+5.7%/5月の実績:+6.05)に対して+5.9%となりました(図表2)

 およそ40年半ぶりのCPIの伸びは、次回FOMC(米連邦公開市場委員会/26~27日)での大幅利上げ観測を広め、同日の株価は下落しました。ただ、一定のアク抜け感も手伝い、株式がCPI発表後の下落から下げ幅を縮小した点には注目です。市場が「バックミラー(インフレ実績)」よりも「フロントガラス(インフレの行方)」を冷静に意識しているとも考えられます。

<図表2米CPIの前年同月比は加速した

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2019年初~2022年6月)

 実際、現在のインフレ(物価上昇率の加速)は、「コモディティ・インフレ」や「コストプッシュ・インフレ」とも呼ばれ、エネルギーや食料品の価格上昇が主要因となってきたことが知られています。

 そこで、国際商品市況(エネルギー、農畜産物、貴金属など)の取引額加重平均指数として知られる「S&P GSCI(ゴールドマン・サックス商品指数)」の推移をみると、6月下旬から下落傾向に転じています。

 商品市況の低下傾向は、今後の物価動向に徐々に影響を与え、CPIやPPI(生産者物価指数)の上昇率を緩めていくと考えられ、足元の景気減速(需要鈍化)の影響と併せ、年後半にインフレ圧力は和らいでいくものと考えられます。

 次回(7月)の物価指標でこうしたインフレピークアウト感が示されれば、債券市場金利(利回り)も上昇一服を鮮明にし、物色動向として(債券金利の上昇傾向に脆弱(ぜいじゃく)だったグロース株が持ち直す動きにつながる可能性があると期待しています。