株で資産形成:景気悪化をどう乗り切るかが鍵

 私は、「日本株は割安、日本株に投資することが長期的な資産形成に寄与する」と考えています。ただし、一つ注意しなければならないことがあります。

 株は、景気循環にともなって、急落・急騰を繰り返すことです。景気が減速・悪化する時には、大きく下がります。そのためにきちんとやらなければならないのが「リスク管理」です。

 景気は循環します。いつまでも好景気が続くことはありません。いつか必ず悪化局面が来ます。でも、いつまでも悪化が続くこともありません。必ず回復局面が来ます。したがって、株式投資では景気悪化局面で過度に悲観的にならず、景気拡大局面で過度に楽観的にならないことが大切です。

景気予測に賭けるのはNG

 投資家は、できることなら景気拡大期だけ株を保有して、景気後退期では株を持っていないようにしたいと思います。そこで、「景気が悪くなるかもしれない」という話が出始めると、株を売る投資家が増えます。ただし、景気判断は水物。市場コンセンサスは往々にして外れます。

 誰もが景気に強気の時に、突然、景気悪化が始まります。誰もが悲観に打ちひしがれている時に、景気回復が始まります。後で振り返るのは簡単ですが、景気の転換点にいる時にそれを知るのは至難の業です。

 株は景気悪化への転換点より早く下げ始める傾向があります。ところが、コンセンサスベースの認識では、景気悪化の転換点が過ぎて相当の期間がたたないと景気悪化が認識されません。つまり、景気悪化への転換点では、まだ景気に強気の話が広がっているということです。

 コンセンサスベースの景気判断に従って動く投資家は、景気悪化による売りに全く間に合わないということです。

 コンセンサスベースで景気悪化が認識された時には、皮肉なことに、次の景気回復を買う上昇相場が始まっていることもあります。

 2020年の3月中旬、コロナショックからの暴落が終わり、世界中の株が急騰し始めた時、「これは次の景気回復を買う流れだ」と認識できた投資家はほとんどいません。2020年後半にかけてどんどん株が上がっていった時にしきりに言われたのが、「不況下の株高」でした。ところが、後から振り返れば、景気回復を織り込む株高でした。

 このように景気予測は当たらない、特にコンセンサス予想はよく外れることを前提に、投資リスクを管理する必要があります。