逃げ場のない全部売り相場!?

 6月28日のゼロヘッジの記事に「エブリシング・バブルの崩壊から逃れるすべはない」という興味深い記事が載っていた。6月の米国市場が「全部売り」相場となったのは記憶に新しいが、今後の相場を考えるうえで示唆に富む内容なので、要約して以下に紹介したい。

 我々は、「すべての卵を一つのカゴに盛るな」と言われている。これは、それぞれのカゴ(に入れた投資対象)が異なる時期に異なるパフォーマンスを示すという考え方だ。暴落時には、少なくとも保有しているポートフォリオの一部は持ちこたえるはずだ。

 しかし、カゴに入っている全てが同じ地震に見舞われたらどうするのだろうか。

 通常、株が暴落しているときは、債券が急騰する。しかし、今回は、ある指標で比較すると債券は株式よりもさらに悪いパフォーマンスをしている。

 税制上の優遇措置と購入時のレバレッジにより、インフレのヘッジとして好まれている不動産も急落している。

 ゴールドは、特に米ドル以外の通貨ベースにおいてかなり横ばいだ。しかし、ゴールドは普通、こういうときに急騰するはずだが・・。

 公益事業株はディフェンシブな投資先として人気があるが、混乱と価格に上限を設けるなどの政府介入によって打撃を受けている。

 銀行株は金利上昇の恩恵を受けるとされている。しかし、今回は違う。金利があまりにも早く上がりすぎて、彼らの顧客(預金者)はパニックに陥っている。

 食料などの基本的な必需品は、サプライチェーンや肥料、エネルギーなどの混乱に巻き込まれている。だから、それらの銘柄の株も苦戦している。

 エネルギー関連株はかなり好調だが、政府は今後、彼らの事業の最も重要な部分(原油価格)をつぶすつもりだ。

 コモディティは不規則に好景気と不景気を繰り返しており、通常、市場の暴落を演じるには良い方法とは言えない。商品ブームの多くは、(その分野の設備投資の)投資不足によって説明される。コモディティ生産者は新しいプロジェクトにお金を使わない(投資をしない)ので、短期的には利益を上げているように見えるだけだ。数年後には、十分な収益が得られなくなるだろう。

 最近、現金はほとんどの投資クラスをアウトパフォームしているが、インフレの急増を考えると、これは信じられないほど皮肉なことだ。

出所:6月28日ゼロヘッジ 『Nowhere To Hide From The Collapse Of The Everything Bubble(エブリシング・バブルの崩壊から逃れるすべはない)』

 現在の相場の問題点は、この売り相場から逃れる場所がないということだ。

 以下は2022年上半期のパフォーマンスである。

Apple: ▲23%
Microsoft: ▲24%
Alphabet: ▲25%
Amazon: ▲35%
Tesla: ▲35%
Zoom: ▲40%
Airbnb: ▲45%
Pinterest: ▲49%
Nvidia: ▲50%
Uber: ▲50%
Meta: ▲53%
Bitcoin: ▲60%
PayPal: ▲62%
Etsy: ▲64%
Netflix: ▲70%
Snap: ▲72%
Ether: ▲73%
Shopify: ▲74%
Coinbase: ▲80%

 最近の株式市場は実体経済とはほとんど相関が無いようだ。最初の投資家は、その後で投資した投資家によって株価が上がり、その結果、もっと多くの人が株式を購入するので投資収益を得る。宴は何かが新しいお金の流れを遮断するまで続き、突然全てがクラッシュする。

 個人投資家がバブル相場につぎ込んでいいのは、失ってもいいお金だけである。そもそも、大多数の人間が飛びつくものに、ろくなものがあったためしがない。流行とかブームに乗ると、最後にはしっぺ返しが待っている。

 相場で一番大切なことは、大きな損をしないことだ。大きな損をすると、投資効率が死んでしまうからだ。だから、相場とは何かといわれれば、「ストップロス」が全てである。