投資資金確保と「リレー投資」
個別株投資入門の方法として、投資資金を確保するためのアイデアを一つ付け加えておく。
日本の上場株式への個別株投資では個々の銘柄への最小投資単位・金額にはバラツキがあるが、一銘柄当たり数十万円の金額がないと投資できない場合が少なくない。こうしたお金を用意しつつ、新しい銘柄への投資を拡げつつ、分散投資が出来たポートフォリオを作るには、具体的にどうしたらいいか。
ここで提案したいのは、インデックス・ファンドから個別株への「リレー投資」だ。
先ず「毎月○万円」といったルール化された金額をいわゆる「天引き」で自動的に貯めないと、特に若い人はお金が貯まらないし(この点は株式投資を別にしても重要だ)、投資に振り向ける金額がなかなか増えない。しかも、最小単位として数万円では買えない銘柄が多いのが現実だ。投資に回すお金を確実かつ効率的に貯めるシステマティックな方法を考えたい。
ネット証券なら少額から投資信託の積立投資ができる。先ず、ノーロード(購入手数料ゼロ)で運用管理費用(信託報酬)の小さいインデックス・ファンドに積立投資して、投資したい個別株に投資できる金額以上に貯まったら解約して個別株投資に回すシステムを提案したい。
インデックス・ファンドは「全世界株式(オールカントリー)」のタイプが良いと申し上げておく。趣味としての「面白み」を考えなければ個別株投資よりも優れているので、個別株の投資銘柄選びはゆっくり行っていい。
また、現在まとまったお金が手元にある方の場合は、生活資金を別途確保した上で、残りの金額を全世界株式のインデックス・ファンドにまとめて投資して、これを積立投資で増額しつつ、投資したい個別株が見つかったら、インデックス・ファンドを一部解約して投資する方法でもいい。「全世界株式+日本の個別株式のポートフォリオ」(前者が半分以上をお勧めする)は資産配分として悪くない。
尚、解約を前提としたインデックス・ファンド投資はNISAや積立NISAではなく、通常の課税口座(特定口座)で行うといい。NISA系の口座は非課税期間の途中で売却すると非課税で運用できる枠を失ってしまうので少々もったいない。これから「全世界株式+日本の個別株式のポートフォリオ」を作ろうとする投資家は、つみたてNISAと特定口座の両方で全世界株式のインデックス・ファンドへの投資を行って、特定口座分の投資を機会があれば個別株に振り向けるといい。
この「リレー投資」は、10年以上前にインデックス投資家の間で有名だった方法をヒントにしたものだ。当時はETF(上場型投資信託)の信託報酬が公募のインデックス投信の手数料よりもかなり安かったので、公募の投信で積立投資をして一定額以上に貯まったらETFに振り替える方法が一部のインデックス投資家の間で地味に流行した。
あの仕組みが、個別株投資で役に立つとは筆者にとって少々意外である。