危機は壮大なテーマで起きているとみるべき
ロシアは西側を攻撃する術を知っている。ロシアで反西側感情に火が付き、攻撃する動機が整っている。西側のリーダーは断固たる措置を講じることができない。マネーがじゃぶじゃぶで、インフレの素地がある。こうしたタイミングを、抜け目ないウラジーミル・プーチン大統領は見逃さないでしょう。
ロシアは、ウクライナに侵攻し、西側に制裁を強化させて「買わない西側」を、ロシア自身は自国資源を囲い込んで「出さないロシア」を実現し、西側をも巻き込み、西側・ロシア両面から供給不安をあおり、高インフレ進行を後押ししました。
実際に今、西側はとてつもないダメージを受けています。西側経済はリセッション入りする懸念が生じ、その上、リーダーたちの支持率は低下し、政情が不安定化しています。およそ100年前のレーニンの言葉が、現実のものになっているわけです。
原油市場、高止まり続くか
上記より考えられる、ウクライナ危機が終わるために欠かせない要素は、ロシアの反西側感情が鎮まる(西側が脱炭素を緩める)こと、西側のリーダーが大衆に迎合しなくなる(毅然としたリーダー、もしくは大衆を完全に操ることができるリーダーが誕生する)こと、マネーがじゃぶじゃぶな状態を解消する(QT(量的引き締め)を進める)こと、です。
現時点では、どれも難易度は高いと筆者は考えます。このため、まだしばらく、ウクライナ危機は続くと考えます。ウクライナ危機が終わらなければ、「原油市場」を舞台とした「世界大戦」は続き、原油相場は今後も高止まりする可能性があります。
また、年内程度の中期的な期間で見た場合、以下のとおり、足元のインフレ減退観測が、ゆくゆくは原油相場の上昇要因に変わるシナリオも想定できます。
図:年内程度の時間軸で考えられる原油相場への上昇圧力発生シナリオ
本レポートで述べたとおり、インフレとウクライナ危機は、「原油市場」を通じて密接に結びついています。インフレを鎮静化するための最も有効な策は、あくまでもウクライナ情勢の鎮静化であり、金利引き上げという西側の策ではない、と考えます。
ウクライナ情勢が鎮静化する兆しが見えた時が、本格的に原油相場が下がる、インフレが鎮静化するタイミングだと、筆者は考えています。
[参考]原油関連の具体的な投資商品例
国内株式
INPEX
出光興産
NEXT NOTES ドバイ原油先物ダブル・ブルETN
NF原油インデックス連動型上場
WTI原油価格連動型上場投信
NEXT NOTES 日経・TOCOM 原油ベア ETN
米国株式
海外ETF
iシェアーズ グローバル・エネルギー ETF
エネルギー・セレクト・セクター SPDR ファンド
投資信託
UBS原油先物ファンド
米国エネルギー・ハイインカム・ファンド
シェール関連株オープン