そもそも、投資ってしたほうがいいの?

――ここ数年で、NISAの活用や資産運用が注目されている背景には、老後に対する漠然とした不安や一時期話題になった「老後資金2,000万円不足問題」があるわけですが、高校生には、老後や将来と言われても、かなり遠い話だからピンと来ないかもしれませんよね。

小林 確かに老後と言われても実感がわかないでしょうが、まずはお金や投資に関心を持ってほしいと思います。

 例えば、親や兄弟といっしょに興味のある投資対象(国・地域や株・債券などの商品タイプ)の過去と現在の価格を見比べながら、もしこのときに投資対象を××万円分買っていたら、現在はいくらになっているだろうという計算をしてみる。それだけでも投資がどう続いていくんだろうというイメージを持つことができるし、経済を学ぶことにもなります。

 日本経済は長い間デフレでしたが、最近、天候や世界情勢の影響でインフレや値上げといったニュースを聞くと思います。これは将来ではなく、いまのお金の問題なので、身近に感じられるかもしれません。高校生の身の回りでもモノの値段が上がっているはず。

 このインフレはなぜ起こったのか、家計にどのような影響があるのか、もし海外旅行に行くのなら為替の円安と円高は旅行にどう関係してくるのかとか、身近なことを通じてお金や経済を考えると理解しやすいですね。

――コンビニのお菓子の値段が上がるのは、すぐおなかがすく高校生にとってダメージが大きい。4月から「うまい棒」の値段が10円から12円に値上がりしたし。

小林 そういう身近なところから入ってみるのも面白いと思います。

こんな情報には、だまされちゃダメ!

――話を戻すと、高校で金融教育が始まったし、テレビでもお金の話が取り上げられることがよくあります。ネットでも、YouTubeやSNSでもそう。ところがあふれている情報の中には、信じてはいけない情報もありますよね。特においしい投資話は大人でもだまされますが、社会経験が浅い若い人は、あふれている情報のどんなところに気をつければいいのでしょうか。

小林 投資の観点で言うと、「これに投資をすればお金が必ず増える」とか「絶対に損をしないノーリスクの投資先がある」というように断定した投資情報を発信する人には十分気をつけてほしい。

――投資の世界に絶対は無いと。今、ノーリスクという言葉が出ましたが、そもそもリスクとはどういうことでしょうか。日常的には「危険」の意味で使っています。

小林 投資の世界のリスクは、「得られるリターン(利益)の振れ幅」のことです。振れ幅が大きければ、得られる利益が大きい可能性があるけれど、損失も大きい可能性がある。これが「ハイリスク・ハイリターン」です。

 リスクが小さいと、リターンも小さいので、「ローリスク・ローリターン」。リスクとリターンというのは表裏一体の関係にあるので、「ローリスク・ハイリターン」はあり得ません。

 投資にはリスクがあるからこそ、それに見合う利益が期待できるとも言えるので、まずはこの点をちゃんと知ってほしい。

――前に比べて投資に対する「嫌悪感」はだいぶ薄れてきたように感じます。SNSで投資やお金に対する自分の考えを発信したり、意見交換・情報交換したりする動きも見えています。この流れについては、小林さんはどうお考えですか。

小林 とてもいいことだと思いますね。というのは、ホントはお金の話は誰でも興味があるし、投資の話も話していて楽しいものだと思うからです。自分も父や兄と投資や相場環境や選んだ商品の話をするのはとても楽しい。

 もっと多くの家庭や友人間で、投資の話をする機会が増えればいいと思っています。そこで、フォロワーさんたちとオンラインでもオフラインでも集まって、投資の話、投資の悩みなどをわいわいと楽しむ機会をつくりたい。ぜひ実現したいですね。