参院選公示、7月10日投開票

 第26回参議院議員選挙が22日公示され、7月10日の投開票に向けて18日間の選挙戦に入りました。

 日本株を動かしている外国人投資家にとって最大の注目点は、与党の政権基盤が「強化されるか弱体化するか」にあります。政権基盤が強化されると、外国人投資家からの買いが入りやすくなる、あるいは売りが出にくくなります。政権基盤が弱体化すると、外国人の売りが出やすくなります。

 岸田文雄政権が「勝敗ライン」に掲げる獲得議席は与党(自民党+公明党)で56議席です。56議席を獲得すれば、与党の非改選議席(69)【注】と合わせて、参院定数(248)の過半数(125)を確保することになります。

【注】参議院議員は任期6年で、3年ごとに半数が改選されます。今回の参院選では、主に前々回(6年前の2016年)の参院選の当選者が改選されます。前回(2019年)の参院選の当選者は改選されません(非改選)。非改選の議席数が与党(自民党+公明党)で69あります。今回の参院選で56議席獲得すると、非改選の69と合わせて、与党で過半数の125議席を獲得することになります。

 与党で56議席確保はハードルの低い目標です。今回の参院選で改選される124議席のうち与党は69議席を保有していたからです。69議席から56議席に議席を減らしても達成できる目標です。

 与党で56議席しか取れず、議席を減らしてぎりぎり過半数を確保するようならば、岸田政権の政権基盤は弱体化する可能性があります。改選される124議席の過半数である63議席以上を与党で確保しないと、岸田首相への求心力は高まらないと考えられます。

 選挙結果を予想するのは困難ですが、序盤の情勢を見る限り、与党に有利に進む可能性があります。岸田政権が「分配重視」の「新しい資本主義」を打ち出したため、争点が見えにくくなっている影響もあります。勝敗に大きく影響するのは当選者が1人の「1人区」で、全国に32あります。

 前回・前々回の参院選では、野党が1人区で統一候補者を出して与党に対抗する戦略をとってきました。ところが、今回の参院選では、自民党が野党の切り崩しに成功したため、野党が統一候補を出せた「1人区」は11に留まります。序盤の情勢では、与党が優勢と言うこともできると思います。

 念のため、申し添えますが、今日のレポートで私は特定の政党を応援する意図はまったくありません。ファンドマネージャー時代に欧米・中東・アジアの機関投資家としばしばディスカッションしてきた経験から、外国人が日本の政治をどう見ているか、選挙結果によって外国人がどう動くかについて、私の見解を述べるのみです。