初級:純金積立、ポイントで投資信託を購入

 ここからは、級別に金(ゴールド)投資の際の具体的な投資商品について、述べます(級は筆者の主観です)。初級は「純金積立」と「投資信託」です。ともに、毎月一定額を投資する「積立購入」と、都度購入する「スポット購入」が可能です。

 この2つの投資商品の共通点は、「買い物」の感覚に近く、初級の方にもなじみやすいと考えられる点です(当然リスクは有)。当社の純金積立と投資信託の取引画面の一部には、「購入」の文字が使われています(株式の取引画面には「注文」や「取引」が使われている)。

 また、「積立投資」の特徴は、今、手元にない資金を、将来購入する際の予定額に組み込むことができることです。毎月1万円ずつ30年間、積立をするとした場合、必ずしも今、360万円もの資金が手元になくても、取引を開始することができます。

「積立」は一度に購入してしまわずに、時間を分散して購入していく、「長い時間をかけて行う取引」と言えます。その意味では、金(ゴールド)投資の際、図:金(ゴールド)市場の見方(材料の俯瞰)で触れた時間軸の長い「超長期」のテーマに注目することになります。

図:金(ゴールド)市場の値動きと7つのテーマの考え方

出所:筆者作成

「超長期」のテーマに挙げた「大局的な社会変化への対応」が進むことにより、「不安回避」と「充足促進」の両面から(不安のみではない)、超長期視点で金(ゴールド)市場に資金が流入し、価格が底上げされる可能性があると、筆者はみています。

 こうした超長期的な価格上昇は、「長い時間をかけて行う取引」である「積立」の追い風になるでしょう。

中級:ETF、関連個別株をテクニカルで売買

 中級は「ETF(上場投資信託)」と「関連個別株」です。以下のとおり、テクニカル分析で売買のタイミングを計ることができます。テクニカル分析とは、過去の値動きなどをもとに計算された、さまざまなテクニカル分析指標を手掛かりに、市場を分析する手法のことです。

図:金ETF(1540)のテクニカル分析の一例

出所:マーケットスピードⅡの資料より筆者作成

 テクニカル分析指標は、チャート(グラフ)に描画する「トレンド系」と、チャートの下の枠に表示する「オシレータ系」に分かれます。トレンド系は価格推移の方向性を、オシレータ系は振れ幅が行き過ぎているかいないか(売られ過ぎか買われ過ぎか)を示します。

 上図の分析で着目しているのは、単純移動平均線の形状が、短期線が中期線を上抜き(ゴールデンクロス示現)、かつ長期線が右上がりであること、RSI(相対力指数)が20を割れて強い売られ過ぎが示されたこと、これら全てが大きな時間差なく起きたかどうかです。

 そして同時に、テクニカル分析以外の要素(諸材料)において、金(ゴールド)相場を上昇させる要素があるかどうかにも、着目します。上図で、上昇が顕著になった場面(点線の矢印)では、円安が進行し、円建ての金(ゴールド)を押し上げる材料がありました。

 トレンド系とオシレータ系、両方のテクニカル分析指標を参照した上で、諸材料が価格を押し上げ得る状況かどうかを確認することが重要です。個別株もETFのように、テクニカル分析指標を用いて売買のタイミングを計ることができます。

上級:特定の時間帯にサクッと短期売買

 上級は「商品先物」と「CFD(差金決済取引)」です。金(ゴールド)相場は、売買が盛り上がりやすい時間帯である米国時間帯の経済指標発表時に、短時間のうちに急騰(急落)する場合があります。以下のとおり、6月10日には2時間半で2.5%もの上昇を演じました。

図:NY金先物(中心限月 5分足終値) 単位:ドル/トロイオンス

出所:ブルームバーグのデータより筆者作成

 足元、米国の金融政策の方向性を占う経済指標(雇用や物価関連など)が発表される時間帯に、ドルや米国株などと同様、金(ゴールド)も変動率が高くなることがあります。「商品先物」と「CFD」は、こうした変動率が高くなることがある時間帯での短期的な売買に用いられるケースがあります。

 レバレッジ(てこの原理)が効いている(投下した資金以上の損金が発生する場合がある一方、思惑通りに相場が推移すれば利益が大きくなる)ことや、一定以上の含み損が出た時、追加で入金をしなければならなくなる場合があることなどが、これらの取引が短期売買になじむとされる理由と言えます。

 また、「商品先物」と「CFD」は、値下がりで利益が発生(値上がりで損が発生)する「売り」からも取引を始めることができるため、経済指標の発表をきっかけに、価格が急落し始めた場合に、その急落を利用して利益を狙うことも可能です。