「明るい金(ゴールド)の話」は可能(1)

 前編である今回は、「時代」「市場」「人」という三つの切り口から、「金(ゴールド)=不安」を否定的に見つつ、金(ゴールド)市場をできるだけ(暗くならずに)明るく観察することを心がけてきました。こうすることで見えてきた重要なポイントは、以下の3点です。

・過去の常識・成功を捨てる
・市場環境が激変したことを認識する
・「充足」も行動のきっかけになることを認識する

 この3点を実践しようと心がけることは、実は「時代」の箇所で述べた「求められる人物像」である「変化に順応でき、強じんな心と高いコミュニケーション力を有する人」に近づこうとすることと、ほとんど同じ意味です。

 過去の常識・成功を捨てる→過去に執着しない「強じんな心」をはぐくむ、市場環境が激変したことを認識する→「変化に順応」しようとする、「充足」も行動のきっかけになることを認識する→「充足」と「不安」を明確に区別・認識できるような「コミュニケーション時に重要なメタ認知力(幅広い視野で考える力)」を育成する、ということです。

 つまり、現在、社会で示されている「求められる人物像」に近づこうとすればするほど、「金(ゴールド)=不安」という短絡的な世界と決別することに近づき、さらには、今の金(ゴールド)市場と「不安抜き」で向き合う状態に近づくことを意味するわけです。

図:「求められる人物像」が「不安抜き」で金(ゴールド)市場を分析するヒント

出所:筆者作成

「求められる人物像」に近づく意識を持てば、「不安」と距離を置いた、新しい側面から分析を試みる「明るい金(ゴールド)の話」は可能です。「明るい金(ゴールド)の話」をするヒントは、「求められる人物像」にあったと言えるでしょう。

 今回(前編)で述べた内容は、「不安だけ」で金(ゴールド)市場を説明する過去の試みと全く異なる、時代背景をとらえ、変化に柔軟で、全体観を網羅した、魔性の度合いを増した「今」の金(ゴールド)市場を説明するために不可欠な内容だと筆者は自負しています。

 不安を否定しても、金(ゴールド)市場を分析することはできます。かえってその方が、分析の幅を広げて、良い結果をもたらす可能性が高くなると、筆者は考えます。分析手法は時代の変遷とともに、変わるべきです。そうでなければなりません。

 次回の後編は、今回触れなかった「投資リテラシー」のほか、金(ゴールド)投資の必須3スキル、初級者、中級者、上級者ごとの、具体的な金(ゴールド)投資のアイデアについて、述べます。ぜひご覧ください。

[参考]投資リテラシー別、金(ゴールド)関連商品(一例)

※級は筆者の主観

初級:現物取引、投資信託

純金積立・スポット購入
ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)
三菱UFJ 純金ファンド
UBSゴールド・ファンド(為替ヘッジあり)

中級:関連ETF、関連個別株

SPDRゴールド・シェア(1326)
NF金価格連動型上場投資信託(1328)
純金上場信託(金の果実)(1540)
NN金先物ダブルブルETN(2036)
NN金先物ベアETN(2037)
SPDR ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト(GLDM)
iシェアーズ ゴールド・トラスト(IAU)
ヴァンエック・金鉱株ETF(GDX)
バリック・ゴールド(GOLD)
アングロゴールド・アシャンティ(AU)
アグニコ・イーグル・マインズ(AEM)
フランコネバダ・コーポレーション(FNV)
ゴールド・フィールズ(GFI)

上級:商品先物、CFD

国内商品先物
海外商品先物
商品CFD