通常口座とNISA口座で異なる投資ルールにしていませんか

 株式投資でいえば、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)口座で投資している株式などにつき、通常とは異なる投資ルールを無意識のうちに用いてしまうケースが結構あります。

 筆者のコラムを長年ご覧いただいている方であれば、買った株が値下がりして損失となったとき、通常の口座(一般口座もしくは特定口座)で買ったものであればルールに従って損切りをすることができる方も多いと思います。

 ところが、NISA口座で買った株について、値下がりしたとしても損切りせず保有を続ける方が少なくありません。

 それはなぜか? NISA口座で買った株をすぐに売却してしまうと、5年間の非課税枠がその分減ってしまうからです。

 確かに、「NISA口座で買ったものについては株価がどうなろうが非課税期間満了まで持ち続ける」とご自身で決め、それを納得の上で行っているのであればよいでしょう。

 でも、例えば同じA社株を通常の口座とNISA口座で保有していて、株価が下がったとき通常の口座の保有分は売却するが、NISA口座の保有分は売却しない…というのはやはり矛盾していると筆者は強く感じます。

 まさに税金の扱いを理由にして投資ルールをゆがめてしまっていると言わざるを得ないからです。

 NISA口座だからといって、買った株の株価が下がったときにヘッジもせず保有を続けた結果多額の含み損を抱えた塩漬け株をつくってしまっては、逆に損失が損益通算できず切り捨てになる分、通常の口座で買うよりも損をしてしまいます。この点も念頭においておくべきです。

筆者はどのように対処しているのか?

 では筆者はどうしているかといえば、税金を気にして投資ルールをゆがめることのないように常に気を付けています。

 売却すると高い税率で課税されるからといって、チャートなどからみた売却ポイントが到来しても売却せず保有を続ける、ということもありません。

 また、NISA口座で買った株式などについては、チャート上で売却すべきポイントに達したら、NISA口座の保有株を売るのではなく、通常口座で同株数を空売りするようにしています。

 こうすれば、NISA口座の非課税枠を減らしてしまうことなく、株価の値下がりに対してある程度のヘッジをすることができます。ただし値下がり分の利益には課税されてしまうので、税額を除いたおよそ80%分しかヘッジはできません。

 そこで、時には、NISA口座で保有している株であっても、見切りをつけて売却してしまうこともあります。

 税金を理由にして投資ルールをゆがめてしまうのは本末転倒です。投資ルールはあくまでも、税金面の影響を無視して実行するようにしましょう。