先週の日経平均は2万5,963円で終了

 先週末6月17日(金)の日経平均株価は2万5,963円で取引を終えました。週足ベースでは5週ぶりに反落し、前週末終値(2万7,824円)からの下げ幅も1,861円と、急落と呼べるほどの大きさとなっています。

図1 日経平均(日足)とMACD (2022年6月17日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 あらためて先週の値動きを振り返ると、週初の13日(月)に、「窓」開けによる一段安で始まった日経平均はその後も下げ幅を広げて、節目の2万7,000円台や25日移動平均線を下抜ける展開となりました。

 翌14日(火)もさらに窓を開けて下落し、75日移動平均線を下回りましたが、その後は15日(水)から16日(木)にかけて2万6,500円水準での攻防が続き、株価の下落がいったん落ち着きを見せる場面もありました。

 ただし、週末の17日(金)に再び窓開けで下落してしまい、2万6,000円台をも下回り、週を通じて窓開けによる株価水準の切り下げが目立った印象です。

 一般的に窓開けが目立つ展開というのは、米国株市場で大きく株価が動いた流れを日本株市場も引き継いでいたことを意味します。先週の国内外の株式市場では、14日(火)から15日(水)にかけて開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)の動向が注目されていました。

 FOMC直前となる、前週末の10日(金)や13日(月)、そして14日(火)に、三つの窓開けが続いたわけですが、こうしたチャートの形状は「三空叩き込み」と呼ばれ、相場が反転しやすいサインとされています。「さすがに三つも窓を開けて下落するのは、下げの勢いが強過ぎではないか?」という考え方が背景にあります。

 上の図1で三空叩き込みを描いていた場面は、前週末に公表された米5月消費者物価指数において、インフレの進行が止まっていない結果となったことや、それを受けて開催されるFOMCでは、利上げ幅が従来予想の0.5%ではなく、0.75%に引き上げられるのではないかという思惑を織り込んでいた局面でした。

 つまり、その後に見せた2万6,500円台の攻防は、FOMCの動向を先取りして株価が下落し、FOMC通過による目先の株価反発シナリオを想定して様子をうかがっていたと考えることができます。

 ただし、実際には17日(金)の取引でさらに窓開けの下落が出現してしまい、想定シナリオがいったん否定された格好となりました。

 とはいえ、日経平均は5月12日の直近安値(2万5,688円)を下回ることなく、下げ幅を縮小させて2万6,000円台を回復する場面も見せており、このままどんどん下値を追っていくような形でもないため、目先の相場展開の判断が難しくなっています。

先週のNYダウをチェック

 同様に、先週の米NYダウの動きについても確認していきます。

図2 米NYダウ(日足)とMACD (2022年6月17日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週末17日(金)のNYダウ(ダウ工業株30種平均)終値は2万9,888ドルとなり、2021年1月以来の3万ドル台割れで取引を終えました。NYダウもFOMC前に株価が下落し、5月20日の直近安値の水準で様子をうかがう場面があったのですが、週末にかけて一段安となっています。日経平均と異なるのは、直近安値を下回り、年初来安値を更新している点です。

 また、これまでの当レポートにおいて、「NYダウの3万2,000ドル台割れ以下は、景況感の悪化を織り込む目安」として注目していましたが、先週末の株価水準はこの3万2,000ドルからかなり下に位置しており、景況感の悪化を織り込みつつあるという見方もできそうです。

 先週は米FOMCだけでなく、日本銀行の金融政策決定会合や、英国やスイスなど、各国中央銀行の金融政策イベントが集中する週でしたが、日本を除いた多くの中央銀行がインフレを警戒する「タカ派スタンス」へとかじを切る動きが相次ぎました。

 米国の利上げ幅拡大だけでなく、これまで「ハト派」として認知されていたスイスも15年ぶりの利上げに踏み切ったことも市場にインパクトを与えたと思われます。

 こうした各国中央銀行の金融引き締め強化によって、「インフレを抑制する前に景気が減速してしまう」ことへの警戒感が高まりつつあるような印象です。そのため、しばらくはインフレと景況感のスピード感が焦点となり、相場の地合いが経済指標や企業業績の動向に敏感に反応しやすくなる可能性があります。

 今週は国内で5月消費者物価指数、米国では5月の住宅関連指標(新築・中古住宅販売)などの経済指標の発表が予定され、全体的にイベントが少なめではありますが、来週からは国内2月決算企業の決算が発表され始めるほか、7月に入ると4-6月期決算の発表が相次ぐことになります。