景況感悪化とNYダウの関係を再確認

 続いて、前述した、NYダウが景況感の悪化を織り込みつつあるという見方について、あらためて考えてみたいと思います。

図3 米ラッセル2000(日足)の動き(2022年6月17日取引終了時点)

出所:Bloombergデータを元に筆者作成

 上の図3は、米国の中小型株価指数の代表格とされる「ラッセル2000」の推移を表したものです。

 このラッセル2000は、中小企業の銘柄が対象となっていることもあり、景気や業績の動向に敏感に反応しやすく、先行指標として意識されることの多い株価指数なのですが、先週末17日(金)時点の株価を見ると、図2のNYダウとは異なり、5月12日の安値を下回っておらず、景況感や業績悪化の織り込みはこれからと考えることができます。

 もちろん、今週のラッセル2000が下げを加速させた場合には警戒感が高まることになります。

 となると、先週のNYダウの年初来安値を更新する動きは、どちらかというと、「金融政策イベント通過によるアク抜けシナリオ」が崩れたことによる需給的なポジション調整などの揺らぎによるものと見た方が良いかもしれません。もし、この見方の通りであるならば、今週の株式市場は需給の整理に伴ってひとまず落ち着き、株価が反発していく展開が想定できます。

 また、NYダウの動きを週足チャートで見ても、いったん株価が下げ止まる可能性があります。

図4 米NYダウ(週足)とMACD (2022年6月17日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図4はNYダウの週足チャートに、2020年3月のコロナ・ショック時の安値から、今年1月の高値までの上昇幅に対する「押し目」ラインをフィボナッチ・リトレースメントで描いたものです。

 先週末時点の株価は38.2%押し水準(2万9,794ドル)で踏みとどまっていることが分かります。さらに、図4のチャートを過去にさかのぼると、この株価水準はコロナ・ショック前にもみ合っていた高値水準でもあり、市場のムードが余程悪化しない限りは、値ごろ感の買いが入りやすい株価水準として意識されそうです。

 最後に、話を日経平均に戻して目先の値動きの目安についても考えていきます。

図5 日経平均(日足)のボリンジャーバンド (2022年6月17日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図5は日経平均(日足)チャートにボリンジャーバンドを重ねたものです。先週末17日(金)時点の日経平均はちょうどマイナス2σ(シグマ)あたりに位置していることが分かります。ちなみに、ボリンジャーバンド内のMA(赤い線)は25日移動平均線を表しています。

 チャートを過去にさかのぼると、株価がマイナス2σにタッチした後に株価が反発している場面がいくつか確認できますが、その多くはMAラインでの攻防となっています。先週末時点のMAは2万7,000円台の節目あたりでもあるため、仮に株価が戻していった場合には、この水準が上値の目標値として意識されることになりそうです。

 反対に、先ほどの図1にあるように、5月12日の直近安値(2万5,688円)を下回ってしまった場合には、2万5,500円や2万5,000円割れとなった3月9日の安値(2万4,681円)が意識されることになりそうです。