相場のアヤ探索の目的

 数年にもわたる株式サイクル投資の王道は、景気や金利のファンダメンタルズからの追い風がより長く強く続くときにしっかり便乗し、金利上昇の初期やピーク、景気悪化の逆風旋風期に投資を手控えることの繰り返しです。

 現在、米株式相場は中間反落が高じて歴史的な弱気相場に入るかどうかの逆風旋風下。筆者は、トウシルでご案内してきたとおり、4月下旬から今に至るまで、相場の復調動意を探索してきましたが、期待通りに相場復調があっても、旋風(つむじかぜ)での追い風をとらえるまででしょう。

 当面、新たな上昇トレンドが始まるステージではありません。それでも、この相場のアヤ探索には複数の目的があります。

 第1は、投資家の行動、心理の観察です。暴落は主に行動学的現象です。恐怖に駆られた売りが一服し、買い手が出て、相場が持ち直すと、相場追認の市況解説で楽観が優勢になります。なぜ相場が上がったかという目線で物事を解釈するため、景気は大丈夫、インフレや金利は織り込み済み、業績はここが良い…といった楽観評価と、暴落追認の悲観的解釈をバランス良く捉えられるようになります。

 第2に、この楽観に持続性があると、相場のアヤが意外と長引き、暴落時の投機的売りの買い戻し、底値での出遅れ焦燥派の買い出動などで、相場の思わぬ急反発も起こり得ます。この妙味を逃さないための相場心理のチェックを続けているわけです。

 しかし、相場をずっと眺めているプロでもない兼業投資家が圧倒的多数でしょう。そういう方々なら、こんな高リスク環境で、そんなアヤ狙いの投資なんかできないし、やるべきではないとも言えます。

 実は、この相場のアヤ探索には、第3の目的として、そんな投資家にご一考いただきたい時間分散投資へのタイミング評価があるのです。