5月13日現在の裁定残高のインプリケーション

 5月13日現在、裁定売り残は2,847億円、裁定買い残は7,141億円あります。この残高をどう解釈したら良いでしょうか?強気にも弱気にも傾いていない普通の状況と比較してどうか、考えるしかありません。

 裁定売り残は、あまり積みあがることがないのが普通です。したがって、2,847億円という低い水準にありますが、それは普通です。

 裁定買い残7,141億円は低いと言えます。通常1兆~2兆円あるのが普通ですから、通常よりも少ない状態です。世界景気に不透明感があるので、外国人は投機的な買い建てを持たないようにしている状態です。

 これから、日本株に強気材料が増えれば、投機筋の先物買いによって日経平均が大きく上昇する余地があると言えます。弱気材料が増えても、投機筋があわてて買い建てを閉じなければならない状況にはありません。

 結論として、投機筋のポジションは、相場にとって上昇に寄与しやすい状況と言えます。ただし、それはただ一般的な見方を言っているだけです。ここから2008年に起きたリーマン・ショックのような世界景気悪化があれば、投機筋は日経平均先物の空売りを増やすので、裁定売り残が増えて行くことになります。世界景気に対する不安が減っていく過程では、投機筋の買い建てが増えて行くことになります。

 投機筋の動きと、ファンダメンタルの変化は同時に見ていく必要があります。

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