(3)米国債券

 米国債券においては「iシェアーズ コア米国総合債券ETF(AGG)」でみていきましょう。このETF(上場投資信託)は、米国の投資適格債券市場全般を表す指数と同等水準の投資成果を目指しているものです。

(チャート4)iシェアーズ コア米国総合債券ETFの推移

出所:楽天証券ホームページ

 価格は昨年9月あたりから下落基調となっていて、ピークから10%以上下落した状態にあります。

「金利ものの債券で、しかも投資適格債を対象としていながら、こんなに下落しているの?」と思われる方もいるかと思いますが、米国においては今年に入ってから金利が急ピッチに上昇しており、金利が上がると債券価格は下がるという関係から、大きく下落しています。

(4)米国以外の債券

 米国以外の債券については、米国を除く世界の国債に投資されている「iシェアーズ 世界国債(除く米国)ETF(IGOV)」でみていきたいと思います。

(チャート5)iシェアーズ 世界国債(除く米国)ETFの推移

出所:楽天証券ホームページ

 昨年8月ごろから下落基調となっていて、ピークから2割ほど下げた状態にあります。米国以外の国でも金利は上昇基調で、かつ、為替がドル高になっているということもあって、債券安と為替のダブルパンチを受けています。

 以上の米国株式、米国以外の株式、米国債券、米国以外の債券の四つに分散投資した場合の運用についてみていきましょう。

 ポートフォリオはそれぞれ25%ずつ、米国以外の株式については日本、欧州それぞれ12.5%ずつとします。米国株式のS&P500は、「iシェアーズ コアS&P500 ETF(IVV)」でみていきます。

(グラフ1)ポートフォリオの資産配分

出所:マネーブレインが作成

 上記のポートフォリオのここ1年のパフォーマンスは次のようになっています。

(グラフ2)ポートフォリオのパフォーマンス推移

*2021年5月20日を100として指数化しています。
出所:ブラックロック社 公表データを基にマネーブレインが作成

 年初来とピークからの下落率を表でまとめてみましょう。

(表1)ポートフォリオの下落率

*分配金は再投資して計算しています。
出所:ブラックロック社 公表データを基にマネーブレインが作成

(グラフ2)、(表1)から、米国人にとっては、米国内の株式、債券に投資をしても、米国以外の株式、債券に投資をしても、いずれも下がってしまっている状況がみて取れます。

 つい半年前までは順調に増えていたために、今後の人生設計も運用で資産が増えることを前提にしていたかもしれません。それが、この半年で一転して減ってしまっているのです。加えて、生活面で追い打ちをかけているのが物価の上昇です。