目先はグロース株主導のリバウンド局面へ、中期的にインバウンド関連に注目も

 一段のインフレ進行に対する懸念は依然として残りますが、米FOMCやCPI(消費者物価指数)発表などを通過して、当面のリスクイベントは峠を越えた感があります。ジェローム・パウエルFRB議長の発言などから、今後の米国の利上げ幅が0.75%に高まる可能性も低いとみられます。

 ナスダック指数は年初からすでに25%の下落となっており、短期的なリバウンド局面に入る可能性が高いでしょう。

 また、中国でのコロナウイルス感染者数が順調に減少に向かっていることも支援材料となります。日本株に関しても、円安メリットは低下していく公算ですが、米国株のリバウンドを背景として反発力が強まっていく展開を想定します。円安水準から円高に向かう局面では為替差益が膨らむ海外投資家の日本株買いの動きにも注目が集まります。

 物色としては、短期的にはグロース株のリバウンドに注目が集まりそうです。とりわけ、大幅な株価調整を強いられた中小型グロース株には反発余地が大きいとみられます。

 一方、高配当利回りなどのバリュー株も、日本郵船(9101)商船三井(9104)の配当利回り水準は今期予想をベースにしても10%を上回る水準であり、これらを中心とした見直しの動きは強まるものとみられます。2022年3月期の決算発表がほぼ一巡しましたが、想定以上にガイダンスは悪化しなかった印象です。

 原材料価格上昇の価格転嫁は順調に進む見通しであり、半導体不足やサプライチェーン問題による部品調達難の状況に関しても、世界的な経済活動の正常化が進めば、解消に向かっていくと考えられます。原材料高や部品不足の影響を過度に考慮して低調な業績見通しを発表している銘柄などには、徐々に見直しの動きが強まっていくものと考えます。

 インバウンド関連銘柄には今後注目が集まっていくものと考えます。海外渡航者の回復には時間がかかるとの見方から、これまでリオープニング関連でもインバウンド関連には相対的に期待感が高まりにくかったと考えられます。

 足元の円安傾向が継続するとすれば、値頃感に伴う海外渡航者の「爆買い」や国内サービスに対する支出は、日本旅行に制限が掛かってきた反動も相まって、急激な拡大が想定されるでしょう。

 株価調整が進んできたドラッグストアを筆頭に、家電量販店や化粧品メーカーなどに注目したいところです。ほかでは、製品値上げの動きが強まりそうな食品セクター、エネルギー危機への対応が急がれることを背景とした原発関連株、ロシアのウクライナ侵攻で予算拡充が容認されやすい防衛関連株なども期待できそうです。