株主優待は株主平等の原則に抵触?

 上場企業は、会社法の規定で「株主平等の原則」に従う義務を負っています。株主平等の原則とは、「自らの株主を、その保有する株式の内容および数に応じて平等に取り扱わなければならない」とする原則です。

 ここで重要なのは、「保有する株式数に応じて」平等ということです。10人株主がいたとして、10人が1人ずつ平等に扱われるという意味ではありません。10人が保有する「100株当たり」の権利が平等でなければならないという意味です。

 普通株式1,000株保有する株主は、100株保有する株主よりも10倍の経済メリットを受けなければなりません。配当金は実際そうなっています。1株当たりの配当金が200円ならば、100株保有する株主は2万円の配当金(貸株に出している場合は配当相当額)を受け取る権利が得られますが、1,000株保有していればその10倍の20万円を受け取る権利が得られます。

 ところが、株主優待はそうなっていません。株主優待制度は、小口投資家(主に個人株主家)に有利、大口投資家(主に機関投資家)に不利な内容となっています。そのため、機関投資家には、株主優待制度に反対しているところが多数あります。

 以下は、典型的な優待の一例です。

A社の優待内容

期末の株主名簿に記載されている株主に以下の自社製品を送る。

上記の優待内容から、100株当たり、どれだけの金額の優待を受けられるかを計算したのが、以下の表です。

出所:楽天証券が作成

 ご覧いただくと分かる通り、100株当たりの経済メリット享受額は、最小単位(100株)を保有する株主が1,000円で最大です。保有株数の大きい株主は、100株当たりの優待受け取りが小さくなります。つまり、株主優待制度は、小額投資の個人株主を優遇するものであることがわかります。

 ただし、これだけで即、株主平等の原則に抵触していると決まるわけではありません。優待を実施している多くの日本企業は株主を潜在顧客ととらえ、自社製品やサービスを優待品として提供することで、自社製品やサービスを知ってもらい販売促進につなげることも狙っています。販売促進に貢献すれば、全社の利益が拡大し全ての株主の利益につながるので問題ありません。優待を実施する企業に、小売りや食品、電鉄など消費・サービス産業が多く、自社製品やサービスを優待に提供する例が多いのは、そのためです。