株価の4つのサイクルとは

 株価の動きにはサイクルがあり、これは主に4つのフェーズに分かれます。

 まず金融相場です。金融緩和により低金利の状況かつ景気回復が進み、株価が上昇します。

 次に訪れるのが業績相場です。利上げにより金融緩和から金融引き締めに転換しますが、そもそも利上げの理由が好景気の過熱によりインフレが起きるのを防ぐためであり、金利上昇が及ぼす悪影響より好景気の影響が勝る間は、株価が上昇します。

 しかし金利上昇が続き、悪影響の方が優勢になると株価は天井を付け下げ始めます。これが逆金融相場と呼ばれるものです。

 景気が悪化すると今度は利上げから利下げへと金融政策が切り替わります。しかし景気悪化による株価下落はしばらく続き、これが逆業績相場と呼ばれます。

 そして利下げによる景気浮揚効果が表れ始めると再び金融相場に戻ります。

 つまり、株価のサイクルは金融相場→業績相場→逆金融相場→逆業績相場という順序をたどることになります。

「絶好の買い場」と考えるか「売り時」と考えるか

 ただ、歴史上類を見ない大規模な金融緩和が行われたこともあり、4つの株価のサイクルが近年はきれいに表れにくくなっているという指摘があります。具体的には金融相場と業績相場が重なって生じているといった点です。

 今足元で起きている株価下落についても、金融相場から業績相場へ移行する過程で生じる「中間反落」であるという見解と、業績相場から逆金融相場へ移行しつつある段階であるという見解の2つが生じていると考えられます。

 もし今の株価下落が中間反落ならば、この調整局面は絶好の買い場ということになりますし、逆金融相場への移行段階だとしたならば、株価はさらに下落することになるため売り場ということになります。

 投資家によって買い目線だったり売り目線だったりするため、株価が上がっては下がりという状況が繰り返され、長期的なトレンドが生まれにくくなっているのです。

個人投資家はどのように行動すればよいか?

 では、こうした点を踏まえ、私たち個人投資家はどのようにすればよいのでしょうか?

 足元が「業績相場へ向けた中間反落である」もしくは「逆金融相場の入り口でさらに下げる」と予想して行動することはあまりお勧めしません。予想が外れた場合大きなダメージを受けることになるからです。

 もし先行きを予想して行動する場合は、予想が外れた時に大きなダメージとならないよう、損切り・撤退のルールをあらかじめ決め、それを守るようにしてください。

 筆者はどちらかに決め打ちする、ということは基本しませんので、株価のトレンドに沿って動きますが、現段階では株価のトレンドが不明瞭な銘柄が多いため、損切りが生じやすくなっています。

 そこで、ポジションを小さめにすることにより、損切りとなった場合の損失をできるだけ抑えるようにしています。

 トレンドに乗るという投資手法はトレンドが明確に生じなければうまくいきませんので、それまでは上昇トレンドの銘柄のみ保有し、かつ全体のポジションが膨らまないよう注意します。そして、上方向もしくは下方向に明確に動き始めた段階で、動いた方向にポジションをしっかり構築していきます。

 株価が下がっても損切りせずに持ち続ける、という考え方もありますが、損切りは厳守するのが筆者の考えです。もし足元のマーケットが逆金融相場の入り口だとしたら、さらに株価が大きく下がることになり、多額の含み損を抱えてしまいかねないからです。

 明確なトレンドが生じていない間は、動けば動くほど損失が積み重なってしまいます。ポジション管理をしっかり行い、利益を得ることよりも、余計な動きで損失を膨らませないことを重視しましょう。

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