鳥になって「俯瞰(ふかん)」しよう

 前回の「【前編】コモディティ投資で勝つために必要なこと」では、市場環境が年々複雑化し、金(ゴールド)や原油市場で変動要因が多層化していること、それによって重要な問いが立つことを述べました。

 そして、その問いへの回答を導き出すためには、「過去の常識」vs「現在の常識」の論争に注目することが有効で、ひいてはそれが「現在の常識」への理解を深めるきっかけになると、書きました。

 重要な問いとは、シンプルさを旨とする「過去の常識」では説明できない、「ドル高でもなぜ金(ゴールド)相場が上昇しているのか?」「OPEC(石油輸出国機構)増産でもなぜ原油相場が上昇しているのか?」というものでした。

 後編の今回は、「現在の常識」の柱である「材料の俯瞰(ふかん)と影響力の足し引き」を、柱を支える要素である「材料を俯瞰すること」「抽象度を高めること」について述べて説明した上で、「重要な問い」に回答します。

 以下は、「材料を俯瞰すること」「抽象度を高めること」についてのイメージ図です。金(ゴールド)相場の場合です。

図:「材料を俯瞰すること」「抽象度を高めること」のイメージ図

出所:筆者作成

 鳥が上空より、地上の隅から隅までを見下ろしています。これが「全体を見渡す=俯瞰」です。何を俯瞰しているのか? それは、3つの時間軸に分けた7つのテーマです。7つのテーマは金(ゴールド)市場に関わるほとんどの変動要因(材料)を網羅できる、抽象的なキーワードでできています。