持っている株を決算発表前に売るべきかどうか?

 4月も後半となり、いよいよ毎年恒例3月期本決算の発表シーズンが近付いてきました。

 本決算では、すでに過去の結果である2022年3月期の決算内容より、新たに走り始めている2023年3月期の予想に注目が集まります。

 そして、その予想いかんにより、株価が大きく乱高下することが予想されます。これは決算発表シーズンの恒例行事のようなものなので、株を持ち続ける限り避けることはなかなか難しいものです。

 決算発表シーズンが近付くといつも頭を悩ませるのが、「持っている株を決算発表前に売るべきかどうか?」という点です。

 この点、例えば長期投資を掲げている専門家であれば、「決算発表により仮に株価が下がったとしても、これはノイズの範囲であり、長期保有していれば株価はやがて大きく上昇するものだ。だからそのまま保有を続けていればよい」という発言をされることが多いと思いますが、筆者はそうは思いません。

 なぜなら、上記のような考え方に従って、決算発表で株価が大きく下がっても株を持ち続けた結果、多額の損失を被ったり、塩漬け株をつくってしまうケースが多々あるからです。

 一方、短期売買をしている投資家にとっては、決算発表による株価の乱高下は予測しがたいリスクのため、通常は決算発表をまたがずに保有株を売ることになるでしょう。

 しかし筆者は短期売買をしているわけではないので、問答無用で決算発表前に保有株を売るというのもちょっと極端かな、と思ってしまいます。

売った場合と持ち越した場合のメリット・デメリットを整理

 このように、人によって投資スタンスが異なるため、決算発表前に持ち株を売るべきかどうかはさまざまな意見が飛び交い、特に初心者の方は「いったいどうすればよいの?」と悩んでしまいます。

 そこで、冷静になって考えることができるよう、決算発表前に持ち株を売った場合と売らずに持ち続ける場合のメリットとデメリットを整理してみましょう。

●決算発表前に持ち株を売った場合
・メリット:決算発表後に株価が急落しても、それを事前に回避できる
・デメリット:決算発表後に株価が急騰した場合、その恩恵を受けることができない

●決算発表前に持ち株を売らず持ち続けた場合
・メリット:決算発表後に株価が急騰した場合、その恩恵を受けることができる
・デメリット:決算発表後に株価が急落した場合、その損失をもろに被ってしまう

 このように、片方のメリットはもう片方のデメリットになっていることが分かると思います。

 ですから、売った後株価が急騰しても仕方ないが、売らずに持ち続けて株価が急落するのは避けたい、というのであれば決算発表前に持ち株を売るという選択肢になるでしょう。

 逆に、売らずに持ち続けて株価が急落するリスクは覚悟で、売った後株価が急騰した場合それにしっかり乗りたい、というならば、決算発表前に売らずに持ち越すという判断となります。

 もし、どちらのメリットも享受したいがデメリットは避けたい、というのであれば、例えば同じ株を200株保有していれば、100株だけ決算発表前に売り、残り100株は持ち続ける、というようにすれば、どちらに転んでも利益は半分になるもののダメージも半減できます。