今後、投資してみたい金融商品・国(地域)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 吉田 哲

 今回は、毎月実施している質問「今後、投資してみたい金融商品」で、「金やプラチナ地金」と「原油先物」を選択した人の割合に注目します。

 質問「今後、投資してみたい金融商品」は複数選択可で、選択肢は、国内株式、外国株式、投資信託、ETF、REIT、国内債券、海外債券、FX(外国為替証拠金取引)、金やプラチナ地金、原油先物、その他の商品先物、金先物取引、特になしの13個です。

図:「金やプラチナ地金」と「原油先物」を選択した人の割合

出所:楽天DIのデータをもとに筆者作成

 2022年3月の調査では、「金やプラチナ地金」を選択した人の割合は14.93%、「原油先物」は3.59%でした。国内株式(51.26%)、外国株式(47.76%)、投資信託(39.26%)、ETF(33.97%)が上位を占め、「金やプラチナ地金」はそれに続きました。

「金やプラチナ地金」も「原油先物」も、前月2月の調査に比べると割合はやや低下したものの、ここ最近の高水準を維持しています。割合の上昇・高止まりの背景には、やはりロシアによるウクライナ侵攻が挙げられます。(ロシアがウクライナに侵攻した日は2月24日)

 ロシアによるウクライナ侵攻を機に、世界中に不安・懸念が広がりました。不安・懸念の広がりは、資金をできるだけリスクが小さい対象に逃避させる動きを加速させ、その対象と目される金(ゴールド)への資金流入を促す動機になり得ます。

 また、侵攻後、欧米諸国がロシアに対してさまざまな強い制裁を科し始めました。制裁により、ロシア産エネルギー(原油、天然ガス、石炭)の流通量が、世界的に減少する懸念が生じ、エネルギーの需給ひっ迫感が強まりました。

 ロシアによるウクライナ侵攻は、金(ゴールド)、原油の上昇要因になっているわけです。3月上旬には、国際的な価格の指標であるNYの先物市場で、金(ゴールド)が2,000ドル/トロイオンス、原油が130ドル/バレルの大台を超える、記録的な上昇が見られました。

 4月に入っても、金(ゴールド)は1,900ドル、原油は100ドルを上回る展開が続いています。引き続き、ウクライナ情勢の悪化が、これらの価格を高水準にとどめていると言えそうです。

 金(ゴールド)は、FRBが金融政策を引き締める姿勢を示し、ドル高が進行している中でも、高止まりしたままです。(世界のお金という共通項を持つ、ドルと金(ゴールド)は、逆の値動きとなることがあるが、現在はドル高でも金高である)

 原油は、ロシア産の供給減少分を補うべく、複数の先進国が備蓄の放出を表明している中でも、高止まりしたままです。

 金(ゴールド)、原油ともに、強い下落要因がありながら価格が高止まりしているわけです。このことは、ウクライナ情勢起因の上昇圧力が非常に強いことを示唆していると言えるでしょう。

 さまざまな材料を織り込みながら価格は動くわけですが、今後も引き続き、ウクライナ情勢がメインの材料となり、2つの銘柄は推移すると、筆者は考えています。そして、当設問の回答結果も、同情勢の動向を反映しながら、推移すると考えます。

 引き続き、「今後、投資してみたい金融商品」における「金やプラチナ地金」「原油先物」の動向に、注目していきたいと思います。

表:今後、投資してみたい金融商品 2022年3月調査時点 (複数回答可)

出所:楽天DIのデータより筆者作成

表:今後、投資してみたい国(地域) 2022年3月調査時点 (複数回答可)

出所:楽天DIのデータより筆者作成