小麦:ロシア・ウクライナ分を補うことは難しい

 ここからは、小麦について書きます。目下、ロシアはユーラシア連合(アルメニア、カザフスタン、キルギス、ベラルーシ。ロシアも含まれる)に対して小麦の輸出を停止しています(6月30日まで)。また、ウクライナ国内では情勢悪化のため今年度の作付けがままならない懸念が生じています。

 以下の図のとおり、ロシアとウクライナの世界全体に占める小麦の輸出シェアは合わせて28%です。ウクライナとロシア産の小麦の20%がエジプト、16%がトルコ向けです。その他、世界各地のイスラム教と関わりが深い国々へ輸出されていることがわかります(小麦粉はハラール認証製品)。

図:世界の小麦輸出シェア(2020年 数量ベース)

出所:FAO(国連食糧農業機関)のデータをもとに筆者作成

 仮に、ロシアとウクライナからの小麦の供給が途絶した場合、現在ロシアとウクライナから小麦を輸入している国々は、合計5,532万トン(年間)もの小麦を新たに調達しなければなりません。

 以下は主要小麦生産国の直近5年における最大生産量(年間ベース)と、直近(2020年)の小麦生産量の差(現実的な増産余力)です。主要生産国が直近で行った最も大規模な生産を行うことで、ロシアとウクライナ産小麦の不足分を補うことができるかを、調べました。

図:現実的な増産余力(直近5年間最大生産量ー直近生産量) 単位:トン

出所:FAO(国連食糧農業機関)のデータをもとに筆者作成

 仮に、有力国の生産量が直近5年間の最大になった場合、ロシアとウクライナ分全量(5,532万トン)を補うことができる計算になります。とはいえ、「いずれの国も大豊作となること」が大前提です。

 ロシアとウクライナの不足分を補えるかは作柄次第(大豊作頼み)、という不安定さがあり、新しいウクライナ情勢のステージ「ウクライナ情勢2.0」では、こうした不安定さが小麦価格を押し上げる場面が散見される可能性があります。足元の小麦価格再反発もその一端である可能性があります。

 今回は、ウクライナ情勢の変遷と、金(ゴールド)、原油、小麦市場に注目しました。

[参考]貴金属関連の具体的な投資商品例

純金積立・スポット購入

金(プラチナ、銀もあり)

国内ETF/ETN

1326 SPDRゴールド・シェア
1328 金価格連動型上場投資信託
1540 純金上場信託(現物国内保管型)
2036 NEXT NOTES 日経・TOCOM金ダブル・ブルETN
2037 NEXT NOTES 日経・TOCOM金ベアETN

海外ETF

GLDM SPDRゴールド・ミニシェアーズ・トラスト
IAU iシェアーズ・ゴールド・トラスト
GDX ヴァンエック・ベクトル・金鉱株ETF

投資信託

ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)
三菱UFJ純金ファンド

外国株

ABX Barrick Gold:バリック・ゴールド
AU AngloGold:アングロゴールド・アシャンティ
AEM Agnico Eagle Mines:アグニコ・イーグル・マインズ
FNV フランコ・ネバダ
GFI Gold Fields:ゴールド・フィールズ

国内商品先物

金・金ミニ・金スポット・白金・白金ミニ・白金スポット・銀・パラジウム

海外商品先物

金、ミニ金、マイクロ金(銀、ミニ銀もあり)

商品CFD(金・銀)

[参考]コモディティ関連の具体的な投資商品例

投資信託

eMAXISプラスコモディティインデックス

SMTAMコモディティ・オープン

iシェアーズコモディティインデックスファンド

ダイワ/「RICI(R)」コモディティ・ファンド

DWSコモディティ戦略ファンド(年1回決算型)Aコース(為替ヘッジあり)

DWSコモディティ戦略ファンド(年1回決算型)Bコース(為替ヘッジなし)

外国株

iPathピュア・ベータ・ブロード・コモディティ(BCM)

インベスコDB コモディティ・インデックス・トラッキング・ファンド(DBC)

iPathブルームバーグ・コモディティ指数トータルリターンETN(DJP)

iシェアーズ S&P GSCI コモディティ・インデックス・トラスト(GSG)