「ウクライナ危機関連銘柄」上昇目立つ

 以下のとおり、この1週間(2月10日から17日)の主要銘柄の騰落率を確認すると、「ウクライナ危機関連銘柄」の上昇が目立っていることがわかります。

図:主要銘柄の騰落率(2022年2月10日と17日の終値で計算)

出所:ブルームバーグのデータをもとに筆者作成

「ウクライナ危機」をきっかけに、天然ガスと原油は、ロシア産の欧州向け供給が減少する懸念が、プラチナは主要鉱山生産国であるロシアからの、小麦とトウモロコシは主要生産国であるウクライナとロシアからの供給が減少する懸念が意識されています。

 供給減少懸念は、価格上昇要因です。エネルギーと食糧価格を押し上げる一因となっている「ウクライナ危機」は、昨年半ばから目立ち始めた「インフレ懸念」を増幅しています。

 また、「ウクライナ危機」は、「資金の逃避先」需要を増やす要因になっています。資金の逃避先需要とは、何か危機が起きている時(有事)、自分が持っている資金をできるだけリスクが小さい(と思われる)対象に振り向ける需要のことです。

 まさに今、危機をきっかけに資金の逃避先需要が増えており、その資金の振り向け先として、歴史的にみてもその対象と目されやすい金(ゴールド)が、物色されていると考えられます。銀が上昇しているのは金に追随する傾向があるためです。

 この間、投機色が強いビットコインが急落していることは、市場全体のムードが、さまざまな市場を縦横無尽に資金が行き交う「リスク・オン」のムードの逆である「リスク・オフ」の状態であることを示唆しています。

 市場全体が「リスク・オフ」の時、資金の逃避先需要が増し、金(ゴールド)相場が上昇する、というある意味、理屈どおりの価格動向が見られているわけです。