経済成長目標達成へ、カギを握るのは投資?

 各地方、それぞれの事情や思惑で数字をはじき出したのでしょうが、問題は数字そのものよりも、その目標をどう達成するかにほかなりません。『経済参考報』(2月8日)の報道によれば、例として、以下のような特徴が見られるようです。

・湖南省:一定規模以上の工業企業を1,000社以上、ハイテク企業を1,000社以上増やす

・安徽省:1億元以上の重点投資プロジェクトを2,600以上、竣工(しゅんこう)1,200以上に到達させる

・河南省:固定資産投資2兆8,000億元、うち1億元以上プロジェクトへの投資1兆8,000億元を目指す

 成長重視の2022年、私は投資が一つのカギを握ると見ています。多くの地方が固定資産投資の成長目標を上方修正していますが、インフラや不動産、都市開発などへの投資を官民が一体となって促していくのでしょう。

 消費も重要です。中国政府の統計によれば、2021年、内需の経済成長への貢献率は79.1%となり、前年よりも4.4ポイント増加したとのこと。上記の春節期間中の観光業に見られるように、「ゼロコロナ」は国民の消費活動にも目に見える影響を与えています。また、資源高や電力不足を含めた供給の制約に成長圧力を見いだす当局は、国民に対して、消費分野を含めた「節約」を促しています。

 節約と消費、節制と成長が必ずしも矛盾するわけではないのでしょうが、当局が国民に節約や節制を促し過ぎれば、当然、供給、需要両方に制約をもたらすわけで、難しいかじ取りとなるでしょう。2021年10-12月期は、皮肉にも外需が成長をけん引しています。

 2021年末の時点で、1人当たりのGDPが1万2,000ドルを突破し、世界平均を超えた可能性が高いというのが当局の公式見解です。また、常住人口の都市化率は64.7%に達し、2020年末よりも0.8ポイント伸びたとのこと。国民の所得や都市化率の向上が、いかに内需型の成長を促していくか。

 しかも、習近平(シー・ジンピン)政権が2060年に温暖化ガス排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現を掲げるように、これからますます環境に配慮した産業政策、企業活動が前提になっていくでしょう。それらは経済成長そのものと矛盾しないのか。国民の経済活動は「グリーン」という新常態にうまくアジャスト(適応)できるのか。

 2022年度の経済成長も重要ですが、もう少し長く、広い目で、中国という強大経済がどう進行していくのかを眺め、忍耐強く付き合っていきたいものです。