各地方の2022年経済成長率目標は「かなり強気」

 中国では毎年、春節明けに各地方で人民代表大会が行われ、その後全人代という1年に1度の政治イベントが首都・北京で開催される流れになっています。言うまでもなく、中国の地におけるほとんどは「地方」なわけで、地方経済の良しあしは「中国経済」に大きく影響します。

 従って、現在各地で開催されている全人代の前哨戦を包括的にみる作業は、全人代でどのような経済目標が公表されるか、李克強(リー・カーチャン)首相が、2022年の経済情勢・政策をどう語るかを先取りすることにつながるわけです。

 ここで、全国各地が掲げた2022年のGDP(国内総生産)成長率目標をみてみましょう。2021年度は中国全体で8.1%増。最も成長率が高かったのは武漢市がある湖北省で12.9%増、二桁成長は他に海南省の11.2%増があり、最も低かったのが青海省の5.7%増でした。6%を下回ったのは他に遼寧省の5.8%増がありました。

 V字回復による高成長率を織り込み済みだった2021年に比べて、2022年の成長率が鈍化するのは既定路線。実際に、2022年の成長率目標が2021年の成長率を上回ったのは二つだけです。チベット自治区が2021年7%前後だったのに対し2022年8%前後、河南省が2021年6.3%増だったのに対し2022年7%に目標を設定しています。河南省は昨年大規模な洪水に見舞われ、経済も打撃を受けましたから、その点も影響し、経済の回復を狙っているのでしょう。

 大きな直轄市や省の目標を見てみると、北京市が5%以上、上海市が5.5%前後、広東省5.5%前後、浙江省6%前後、江蘇省5.5%前後となっています。未発表の天津市(昨年は6.6%増)以外、30の省・直轄市・自治区が掲げた目標を足し、30で割ると、出てきた平均値は6.35%です。

 私の印象は、「かなり高め」というもの。仮に、3月5日に開幕する全人代の「政府活動報告」で、李首相が2022年度の中国経済成長目標を「6.0%以上」あるいは「6.0%前後」あたりに設定するとしたら、それも「かなり強気」だと私は捉えるでしょう。

 年明け、IMF(国際通貨基金)が2022年の中国経済成長率を0.8ポイント下方修正し、4.8%増としました。私は、「5.0%以上」あたりに設定するのが現実的だと考えています。