常識が通用する局面と通用しない局面

 株式投資における常識についての筆者なりの評価は、その常識(と思われているもの)それぞれにおいて異なりますが、好業績が続く銘柄の株価は上昇する、というのは常識としては間違っていません。

 現に、アベノミクス相場がスタートした2012年11月以降、株価が10倍、20倍にまで上昇した銘柄は数多くあるからです。そしてそのほとんどが、好業績が続く成長株でした。

 しかし成長株の大きな上昇は、低金利という追い風によりもたらされたとも言えます。低金利であれば、デフレ局面なので将来のお金の価値はそれほど減価しません。そのため高いPERが許容されやすくなります。

 ここで重要なのが、デフレ局面からインフレ局面への変化を自分自身でしっかり感じることなのです。

 デフレ局面からインフレ局面に変わったとき、デフレ局面で通用した常識が通用しなくなるからです。

 筆者はデフレ局面からインフレ局面への変化を、成長株の軒並み軟調な動き、それと対照的な割安株・景気敏感株・銀行株などの上昇、米国10年物国債金利の上昇などから感じ取りました。

下降トレンドになったら保有しないようにするだけで大失敗は回避できる

 足元では、成長株の下げがかなりひどい状況になっています。

 そんな中、多くの個人投資家は「好業績が続いている状況に変化ないのだからそのうち再び上昇するだろう」という淡い期待を持ち、値下がりが続く成長株を保有し続けた結果、多額の含み損をかかえてしまっています。実はこれこそが、個人投資家が最も避けるべき失敗の1つなのです。

 無論、長期的に見れば、好業績が続いている成長株であれば株価は再び上昇に転じる可能性は高いと思います。

 しかし、利上げにより株価に与える影響がどの程度で、いつまでの期間続くかは分かりません。そして、特にかなり高いPERまで買われた成長株については、いわばバブル状態であったため、株価が大天井をつけてしまう恐れもあります。

 でも、こうした大失敗につながる要因は、株価のトレンドが下落に転じているにもかかわらず、成長株を保有し続けたことにあります。逆に言えば、株価が下降トレンドになったら、筆者であれば25日移動平均線を割り込んだら売却しておけば、大きな失敗を回避できるのです。

 現に筆者はそのルールを徹底して守ったおかげで、保有していた成長株をまだ株価が大きく下落する前の段階で手放すことができています。

 さすがに成長株も足元では売られすぎの銘柄も増えてきていますし、いったんは上昇に転じると思います。

 ただ、成長株の風向きが明確に変化した可能性もありますので、少なくとも下降トレンドの間は安易に手を出さず、買うならば上昇トレンドに転じるのを待ってからの方が安全と筆者は考えています。

 また、筆者はすでに実践しましたが、成長株から割安株・景気敏感株など年初から株価が堅調な動きとなっている銘柄群への資金シフトも検討に値すると思っています。

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