米国株価指数とインデックスファンド、騰落率の差に影響しているのは?

答え:為替変動

 好調に推移する株式市場の影に隠れてあまり強調されませんでしたが、実は、2021年は円安ドル高が進みました。米ドルが日本円に対して10%以上上昇し、1ドル103円台から115円台になりました。

 円が各国通貨に対して下落する円安の進行は、外貨建て資産に投資するファンドにはプラスに作用します。為替の変動率がそっくりそのまま投資信託の運用成績として反映されるわけではありませんが、2021年に関しては、円安進行によって、ファンドの基準価額と運用成績が押し上げられました。

 言い換えれば、米国の投資家が現地通貨の米ドルで各指数に投資するよりも、日本の投資家の方が為替差益を得られた分、有利だったということです。

 ちなみに、2020年は、米ドルが日本円に対して5%下落する、円高ドル安の状態でした。2020年も、S&P500指数やナスダック指数は2桁台の上昇率を記録していましたが、2021年とは逆で、円高の進行が、ファンドの基準価額と運用成績を押し下げました。

 このように、外貨建て資産を組み入れた投資信託は、「為替ヘッジあり」のタイプを選択しない限り、原則として為替変動の影響を受けます。また、この為替変動が投資信託の基準価額に与える影響は、インデックス型に限らず、アクティブ型でも同じように作用します。

 ただし、アクティブ型は、銘柄選定や投資配分の面で柔軟な対応が可能なため、インデックス型ほど直接的に為替変動の影響が表れません。

 米国株式市場は2022年も引き続き強気の見通しが目立ちますが、2021年のインデックスファンドの好成績は、株式市場の上昇だけでなく円安進行による押し上げ効果も大きかったということを、今一度認識しておいた方がよいでしょう。

※為替ヘッジについて、詳しくは「失敗しない投資信託選び:為替ヘッジあり・なしってどういうこと?」の記事をご参照