「株を買う」のでなく「会社を買う」

──8,000万円まで一時減らしましたが、それから復活を遂げたのですね。

DokGenさん 現在の資産は2億6,000万円くらいですが、前のように短期間で増やしたわけではありません。8,000万円から15年くらいかけて、ようやく元の額に戻りました。

──前は運がよかったとおっしゃっていました。今回はどうですか。

DokGenさん もちろん、運もあったと思います。ただ、自分なりの投資術が実を結んだというのも事実。株式投資はいうまでもなく、高くなりそうな銘柄を買って、高くなったら売って稼ぐわけです。

 でも、私はライブドア・ショックで大金を失った後、「株」ではなく、「会社」を買うという意識で投資に向き合うようになったんです。

──その会社のオーナーになるという意識で株を買うということですか。

DokGenさん そういうことです。ただし、100株、200株保有する程度では、そこまでの気持ちにはなれません。だから、大量に保有しますし、すぐに売るようなこともしません。

 この会社は成長するという確信を持ったら、大量に株を買って、持ち続けるのが今の私のやり方です。自分では「ほっとけ投資」と呼んでいます。買ったらあとは、ただ保有しているだけなので。

──どんなきっかけで「ほっとけ投資」にたどり着いたのですか。

DokGenさん 私は、投資を始めたころからある夢を抱いてました。それは『会社四季報』の株主欄に自分の名前が載ること。『四季報』の銘柄解説には「株主」欄があり、大株主10人の名前と持ち株数、持ち株比率が掲載されるんです。

 ライブドア・ショックのあと、この夢を追ってみようと改めて思いました。失った資産を取り戻したいという気持ちはありましたが、焦って動いてもろくなことにはならないだろう、それなら残った8,000万円でどこかの大株主になろうと考えたのです。

──8,000万円あれば『四季報』に名前が載るのですか?

DokGenさん ええ。時価総額が何千億円、何兆円という大型銘柄は無理ですが、数十億円程度の小型銘柄であれば、不可能ではありません。保有株が数千万円あれば、けっこう上位にランクされます。それで、あるIT系企業の株を買い集めていったんです。

──では、夢がかなったのですね。

DokGenさん 長年の夢でしたから、『四季報』を開いて自分の名前を見つけたときは感慨深かったですね。そのとき、自分はこの会社のオーナーの1人になったんだという実感が自然と湧いてきました。この会社に資産を預けて、ともに歩んでいこうと。

 それまで私は、株価が上がると大喜びし、下がると絶望するといった日々を送っていました。株価の動きに振り回されすぎていた。そんな日々に少し嫌気がさしていたんです。だから、売り買いを繰り返さない、数銘柄を吟味して保有するだけの「ほっとけ投資」が妙に快適だったのです。

株価の変動に一喜一憂せず、持ち続けることが大事

──大株主になったIT関連企業の株はすぐに上がったのですか。

DokGenさん 買ってしばらくはパッとしませんでした。というか、リーマン・ショックや東日本大震災のときには、買い値よりずいぶん下落しました。

 しかし、その後、相場の上昇気流に乗り、結局、買い値の何倍かに膨れ上がりました。

──オーナー気分だったとはいえ、リーマン・ショックや東日本大震災の暴落では売りたくなったのでは?

DokGenさん 正直、売ろうと思ったこともあります。でも、何があろうと売らないと決めていたので、何とか踏ん張りました(笑)。

 確信とまではいえませんが、どんなに下落しても相場が回復すれば、そのうち持ち直してくれるだろうという思いがありました。それほどの思いがなければ保有しません。

──「ほっとけ投資」だったからこそ、再び2億円を超えることができたのですね。

DokGenさん 株というのは日々、上がったり下がったりするものです。年に何度かは調整局面に入るし、数年に一度は大暴落もあります。だから、株価の変動にあまりとらわれないほうがいい。

 値動きを気にしすぎると、無用な売り買いを繰り返し、結局、ソンをするということになりかねません。私の場合も、株価の上下動に一喜一憂せず、保有し続けていたからこそ、今の資産を築けたと思っています。

──DokGen流「ほっとけ投資」のメリットがわかりました。ただ、どんな銘柄でも長期間保有すれば株価が上がるというわけではありません。後編は、どういう観点で「ほっとけ投資」銘柄を選ぶべきかをお伺いします。

≫DokGenさんインタビュー後編

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