割安成長株に見えて実際は違うパターンとは

 では、具体的にどのようなケースが要注意なのでしょうか?

 一つは、「そろそろ業績がピークアウトしそうだ」もしくは「すでに業績がピークアウトした」とプロ投資家が思っているケースです。このケースは非常に多いので極めて重要です。

 業績がピークアウトする直前の時点では、大抵の場合、企業側から発表される来期の業績予想は増収増益であることが多いのです。ところが株価が値下がりし、PERが下がってくるので、パッと見「割安」に見えてしまいます。

 ぜひ皆さんに知っておいていただきたいのですが、PERが50倍、100倍と非常に高かった銘柄の株価が下がり、PERが20倍以下にまで低下するようなケースは、株価が業績のピークアウトを織り込んでいる可能性がかなり高いです。

 確かに業績予想は増収増益なのですが、プロ投資家が独自の分析などにより「もう業績はピークアウトして実際には増収増益にはならない」と判断したならば、どうでしょうか。恐らく保有株は売却してくるでしょうし、新規にその銘柄を買うこともしないでしょう。

 その一方、企業側から業績予想の下方修正が発表されるまではタイムラグがあります。その間、「業績予想は増収増益なのに株価は下落」「PERから見て割安」という錯覚を個人投資家に生じさせてしまうのです。

株価上昇の可能性がやや高いパターンもある

 もう一つは、「業績の変動が激しく、将来の業績を予想しにくい」ケースです。

 もしあなたがファンドマネジャーというプロの投資家だったとします。3年後、5年後も順調に業績を伸ばすことがおおむね想定できるA社の株と、確かに3年後、5年後に大きく利益を伸ばす可能性はあるが不確定要素も強く断定しにくいB社の株があった場合、どちらに投資しますか?

 おそらく多くの方はA社の株を選ぶと思います。確かにB社も業績が大きく向上する可能性はあるものの、そうならなかった場合逆に株価が大きく下落してしまう恐れが高いからです。

 でも、B社は業績の不確実性が高いため、株価はそのリスクの分だけ割安な状態で放置されています。もしB社が今後業績を大きく伸ばすことになれば、さすがにマーケットもそれを評価することになり、株価は上昇するはずです。

 このパターンは、「業績がピークアウトする」のではなく、「どうなるのか分からない」ので、もし業績の推移がよい方向で変化した場合は、株価の大きな上昇も十分にあり得ることになります。不動産株などにこのパターンが多いように感じます。