2022年、注目の「無配株」

コード 銘柄名 株価(円)
7211 三菱自動車 315
4483 JMDC 7,380
4194 ビジョナル 9,470
※株価データは2021年12月20日終値ベース。

三菱自動車(7211)

▼どんな銘柄?

 日産自動車の持分法適用会社で、ルノー、日産との3社アライアンスを展開しています。SUV、ピックアップトラック、PHEV(プラグイン・ハイブリッド車)などが主体となり、国内軽自動車、タイ、フィリピン市場などに強みを持っています。

 2022年3月期営業利益は600億円の計画で、前期比1,500億円以上の収益改善を見込んでいます。自動車販売台数の拡大、構造改革効果による収益力の向上が収益回復の背景です。

 期初計画の300億円からは大幅に上方修正されています。ただ、前期に大幅赤字を計上していることもあって、配当金は2期連続での赤字見通しになっています。

▼ここがポイント

 2023年3月期業績も、半導体不足の緩和に伴う販売拡大が続く見通しであるほか、為替の円安効果も大きく寄与すると見込まれます。

 新型「アウトランダー」のPHEVモデルを12月から国内販売開始しており、販売拡大の一因ともなりそうです。営業利益は800億円程度がコンセンサスになっているようです。

 配当金に関しては、無配継続と10円程度の復配の見方が二分している状況であり、期初計画で復配アナウンスはないと思われますが、2022年内には復配への期待感が高まっていく場面もあると考えられます。

 また、自動車業界ではEV展開への関心がより強まるとみられる中、日産と共同開発した軽自動車規格のEVが2022年度の早い時期に発売される見込みであることなども、株価の支援材料となりそうです。

JMDC(4483)

▼どんな銘柄?

 2019年12月にマザーズに上場し、2021年11月には東証1部に指定変更した銘柄です。医療ビッグデータ関連サービスを主力に、遠隔画像診断や調剤薬局向けシステムなども手掛けています。

 医療データの利活用が着実に浸透する中、上場後の収益は急成長が続いています。2022年3月期営業利益も48億円で前期比29.9%増益の見通しになっています。上半期決算時には、従来の43億円から上方修正されています。

 顧客数や提供データの種類などが着実に拡充しているようです。なお、配当金は上場来無配が続いています。

▼ここがポイント

 今期業績は会社計画を上回るとの見方が優勢であるほか、大半のアナリストが来期以降も2ケタの増収増益が続くと予想しています。

 配当金は当面無配の状況が続くとみられますが、当面の業容拡大確度が高い中では、資金を成長投資に振り向けたほうが、将来的にリターンが高まるとの見方がなされます。

 10倍を超えるPBR水準には割高感が感じられますが、将来的には医療データベース提供企業からヘルスケア業界そのものへ影響を与えるデータ・プラットフォーマーへと変容を遂げるとの期待も挙がっているように、グロース株の中でも成長確度は高いとみられることで、許容できる状況にあるとみます。

 短期的には、12月のTOPIX買い一巡後に需給妙味が後退する可能性があり、押し目買いのチャンスが接近しつつあると考えます。

ビジョナル(4194)

▼どんな銘柄?

 2021年4月22日にマザーズ市場へ新規上場しています。ソフトバンク以来の大型上場となりましたが、初値示現後も株価は堅調な推移が続いており、12月には公開価格の2倍の水準にまで上昇しています。

 クラウドを活用した会員制の転職サービス「ビズリーチ」が主力で、年次利用中の企業数は8,000社以上となっています。また、採用管理や人材管理を行うソフトウエア「HRMOS」も手掛けています。

 2022年7月期営業利益は60億円で前期比2.5倍と急拡大の見通しになっています。第1四半期決算時に、従来予想の26.7億円から大幅に上方修正しています。主力事業の「ビズリーチ」において、採用需要が想定以上に拡大しているもようです。

 なお、当面は内部留保を優先することで、配当金は無配予想となっています。

▼ここがポイント

 コロナ禍の影響で2021年7月期業績成長は限定的にとどまりましたが、2022年7月期の大幅上方修正を見る限り、高いバリュエーションに見合った収益成長が今後も期待できそうです。

 とりわけ、人材流動化につながる転職サービスは中長期的な市場拡大が期待される分野となります。

 解雇の金銭解決などといった雇用流動化につながる規制の緩和はいずれ実施されてくるものとみられ、その際には、導入企業、スカウト可能会員、利用ヘッドハンターなどのインフラを急速に構築している同社などは、多大なメリットを享受できるものと考えます。

 経済活動本格回復による人材採用意欲の増加など、景気敏感株の要素も多分にあり、この点は他のグロース株と比較して、現状評価できる点でもあるでしょう。