「無配株」への投資はどうなる?銘柄選びと注意点

 無配株(2021年度をベース)は大きく分類すると2通りにタイプが分けられます。1つは、短期的な業績悪化によって、年間収益で配当が賄えなくなってしまった企業群です。

 もう一方は、設立間もない成長途上の企業など、配当金を出すよりも成長投資に資金を振り向ける必要のある企業群です。それぞれのタイプにおいて、投資すべきタイミングなどは異なることに注意が必要となります。

 まずは前者ですが、業績回復、それに伴う復配アナウンスが最大の買い材料となります。とりわけ、現局面でいうと、コロナ禍のネガティブ影響を大きく受けた旅行関連株や小売株の一角などが多く当てはまるでしょう。

 これらの銘柄は、今後の経済活動正常化に伴って、こうした期待値が実現する可能性が高いものとみられます。ただ、あくまで、復配初年度の配当水準は利回り妙味が出るほどのものではなく、徐々に配当水準が切り上がっていくことになるでしょう。

 リスク要因としては、コロナ感染再拡大などによる景気回復の遅れで、企業収益の回復ペースが鈍化することなどが挙げられます。

 企業の復配に関しては、長期間無配が続いていた銘柄のほうがより短期的なインパクトが出やすいと考えられます。

 ただ、こうした銘柄は、業績の低迷期間が長期化していたことで、財務体質なども相応に悪化しているとみられます。業績の回復が一過性の可能性もあり、中長期投資にはリスクが高い銘柄が多いでしょう。

 後者に関しては、高い業績成長の持続期待、収益の黒字化達成などが買い材料となります。

 こうしたタイプの銘柄群が配当実施に踏み切るケースももちろんあり、好感材料とされる可能性も高いですが、「利回り水準」自体が買い材料になる可能性は低く、むしろ、高い業績成長局面は一巡と受けとめられる公算もあるでしょう。

 また、グロース株優位の地合いが追い風になるため、バリュー株に資金がシフトする局面では、PERやPBRなどバリュエーション水準の割高感が嫌気されて、換金売りの対象となりやすいことには注意が必要となります。こうした局面では、市場の注目テーマに沿った銘柄選別が重要となってきます。