2022年、注目の「高配当株」

コード 銘柄名 株価(円)
9104 商船三井 7,910
9810 日鉄物産 4,750
5020 ENEOSHD 424.4
※株価データは2021年12月20日終値ベース。

商船三井(9104)

▼どんな銘柄?

 大手海運株の一角です。2022年3月期経常利益は4,800億円で前期比3.6倍の見通しで、期中に3度の上方修正が行われています(期初予想は1,000億円)。

 コンテナ船事業を運営する持分法適用会社のONE社において、荷動きとスポット賃率が想定以上に推移していることが収益急拡大の主因となっています。

 年間配当金に関しても、期初計画の150円から2度引き上げられ、現在は800円の見通しになっています。12月17日株価を基準とした配当利回りは9.9%の水準であり、全上場企業の中でもトップクラスの水準にあります。

▼ここがポイント

 上半期経常利益は通期計画に対して57%の進捗(しんちょく)率で上振れ余地が残ります。配当性向は20%を基準としていることから、2022年3月期配当金に関しては、業績上振れに伴う一段の引き上げの可能性もあるでしょう。

 従来は、コンテナ船運賃の反動安により、2023年3月期の配当金は大幅な減少が避けられないとの見方が中心でした。ただ、足元でもコンテナ運賃の上昇が続いていることで、最近では、連続経常増益が続くとの予想も出始めています。

 配当性向に関しては20%から30%にまで引き上げられる可能性も高いため、一部では配当金の倍増を見込む向きもあるようです。ガイダンスリスクを警戒して、2022年4月の決算発表前にいったん売却して、再度買い直す戦略なども有効と考えられます。

日鉄物産(9810)

▼どんな銘柄?

 日本製鉄系の鉄鋼商社で、日鐵商事と住金物産が2013年に合併して誕生しました。日本製鉄が筆頭株主ですが、8月に繊維事業を統合した三井物産も約20%を保有する大株主になっています。

 2022年3月期経常利益は430億円で前期比66.8%増益の見通しです。期初計画の330億円から期中に2度の上方修正を行っています。鋼材数量の回復や価格上昇によって、主力の鉄鋼事業が大幅に拡大しています。

 年間配当金も期初計画の220円から2度引き上げられ、現在は300円の計画となっています。12月17日株価を基準とすると配当利回りは6.2%の水準となります。

▼ここがポイント

 鉄鋼事業における高水準のマージンが反動で低下するとの見方から、2023年3月期は経常減益、配当性向30%に伴う減配も見込まれているようです。

 ただ、環境政策の強化などによって、中国の粗鋼減産は続き、当面は高水準の鋼材市況が継続する可能性も高いとみられます。

 固定費削減など収益体質の強化による効果、本社移転費用などの一巡もあって、収益横ばい見通しといったアナリスト予想も出てきています。2023年3月期大幅減配懸念が後退すれば、株価には見直しの余地が大きそうです。

 また、プライム市場への適合通知を受領とは発表していますが、グループ再編の動きに対する思惑なども折に触れて高まる公算も大きいと考えられます。

ENEOSHD(5020)

▼どんな銘柄?

 石油元売りの国内トップ企業で、国内シェアは約5割と推定されています。

 石油元売り事業のほか、カセロネス銅鉱山などの運営も行い、FPC用圧延銅箔、半導体用ターゲットなどの機能材料、電子材料向け高純度タンタル粉など世界トップシェア製品も多くあります。

 2022年3月期営業利益は4,700億円で前期比84.9%増益の見通しです。このうち、在庫影響を除いた実質的な営業利益は3,100億円で同43.9%増益見通しとなっています。原油や銅など資源価格の上昇、データ通信需要の増大に伴う機能材料・薄膜材料の販売拡大が好業績の背景です。

 年間配当金は期初から変化なく、22円を計画しています。12月17日株価を基準とすると、配当利回りは5.0%の水準となります。

▼ここがポイント

 PER5倍、PBR(株価純資産倍率)0.5倍台、配当利回り5%と、どの株価指標からも割安感が感じられます。

 脱炭素の流れや自動車のEV(電気自動車)化進展による石油元売り事業の先行き不透明感が、低いバリュエーションの背景とみられますが、金属事業や先端素材分野の拡大に加えて、新エネルギーへの展開力も強化しつつあり、割安水準是正の余地は大きいとみられます。

 国内水素ステーションも6月現在で46カ所と、水素サプライチェーンでは重要な役割を担うとみられるほか、国内有数の再生可能エネルギー事業者の買収も決定しています。

 短期的には、2022年度累計で総還元性向50%以上を掲げているため、2022年3月期業績の着地がある程度見えた時点での自社株買いの実施などが期待されます。