「高配当株」への投資はどうなる?銘柄選びと注意点

 2021年の株式市場では、例年以上に「高配当利回り」に関心が集まった印象があります。象徴的な銘柄として日本郵船(9101)が挙げられます。

 株価は年初から一時4.7倍の水準にまで上昇し、年間上昇率(12月15日現在)でも時価総額1,000億円以上の銘柄の中では第2位となっています。第1四半期決算時に配当予想の大幅上方修正を発表、つれて、配当利回りが10%超の水準にまで高まり、活発な配当権利取りの動きにつながりました。

 コーポレートガバナンスに対する意識の高まりを背景に、足元では配当性向を引き上げる動きが強まっています。また、東証再編に伴う株主数の基準の低下によって、今後はクオカードの贈呈を中心に株主優待の実施が減少する可能性が高く、その分、配当に資金が向けられることになるとみられます。

 高配当利回り銘柄の配当水準、並びに、利回り水準は従来と比べて高まっていくと考えられ、第二の「日本郵船」株が多く出現してくる公算も大きいでしょう。

 一般的に、金利の上昇局面では、グロース株からバリュー株への資金シフトが強まる傾向にあります。つれて、バリュー株と位置付けられる高配当利回り銘柄の株価上昇が期待できることになります。

 2022年は米国で利上げフェーズに入るため、米国長期金利は上昇局面とみられ、高配当利回り銘柄にとっては追い風となる相場環境が予想されます。2022年は相対的に高配当利回りの株価パフォーマンスが良好となるでしょう。

 高配当利回り銘柄にとって減配のインパクトは相対的に大きくなりますが、リスクとして注意したいのは保守的な計画に伴う減配予想です。

 短期的なショック安が想定されますが、中期的には業績上振れとともに増配期待も高まっていくことになるため、高配当利回り銘柄の物色は比較的中長期スタンスが求められるでしょう。

 なお、岸田首相が自社株買いでガイドライン設定の可能性とも最近伝わっており、株式市場全体のネガティブ材料につながるため実現の可能性は低いでしょうが、仮に強行された場合、自社株買い資金は配当水準の引き上げに向けられるものとみられます。