米インフレ高進続くも、米長期金利は落ち着いた動き

 12月10日に発表された11月の米インフレ率(CPI総合指数前年比上昇率)は6.8%で、10月の6.2%からさらに0.6ポイントも高くなりました。39年ぶりの高いインフレ率となりました。

米インフレ率(CPI総合指数・コア指数の前年比%)推移:2020年1月~2021年11月

出所:米労働省より作成

 米FRBが目標としている2%を大きく上回るインフレ率が続いています。原油など資源価格高騰がインフレを高めていますが、それだけが要因ではありません。コロナ禍の影響で、物流が停滞し、一時的に物不足が起こっていることも、物価高につながっています。

 総合インフレ率は、エネルギー価格上昇の影響を含むもので前年比6.8%まで上がっていますが、エネルギー価格の影響を除いたコア・インフレ率でも4.9%まで上昇しています。こうした状況を受け、パウエルFRB議長はこれまでのハト派姿勢を改め、急速にタカ派に転じつつあります。

 一方、米長期金利は17日時点で1.4%と、落ち着いた動きとなっています。米インフレの原因となっている原油高が一服していること、物流停滞もいずれ解消するとの見方があることによります。来年にかけて米景気が減速し、インフレ率も低下するとの見方が続いていることから、米長期金利は低いままとなっています。

 以下の通り、世界的に金利はまだ低水準にあります。

米・英・独・豪の長期金利(10年国債利回り)推移:2007年1月~2021年12月(17日)

出所:QUICKより作成