中国「恒大集団」実質デフォルトに

 12月6日、中国の不動産大手「恒大集団」の発行しているドル建て債2本の利払いが行われませんでした。利払い無しのまま30日の猶予期限が経過したのが、12月6日でした。通常ですと、ここでデフォルト(債務不履行)が宣告されるのですが、正式な発表は何もありません。

 中国政府は、巨額の負債をかかえた恒大集団のデフォルトを前提とした債務再編処理を既に始めている模様です。法的整理とすると、中国国内に連鎖倒産が広がるので、そうならないように軟着陸(ソフトランディング)を画策しているようです。

 同社取引先や、同社から住宅を購入して引き渡しを受けていない国内個人を救済し、より大きな負担を銀行や機関投資家に求める方針と考えられます。同社が発行している192億ドル(約2兆1,000億円)のドル建て債券は、大幅な元本カットを求められるでしょう。

 ただし、海外投資家がそれにすんなり同意するとは考えられません。国際金融市場のルールに基づかない中国の国内事情を優先した債務整理のやり方には、海外から大きな反発が起こると考えられます。恒大集団のデフォルト処理では、今後かなり難しい問題が発生し、解決に長期を要することになるでしょう。

 中国の不動産バブル処理には時間がかかり、中国景気の押し下げ要因となることに注意が必要です。ただし、中国政府がなんらかの軟着陸を模索していることから、短期的に世界の金融市場に大きなショックをもたらす懸念はやや低下しています。

日本株「買い場」の判断継続

 米インフレ・中国恒大などの不安はありますが、来年、世界景気が巡航速度での拡大を続けるとの見方は変わりません。日経平均は当面上値が重いものの、いずれ景気・企業業績の拡大を受けて、上値トライしていくと予想しています。

 時間分散しながら割安な日本株を買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与するとの考えは変わりません。

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