値上がり率ランキング(5銘柄)

1 壽屋(7809・ジャスダック)

 決算サプライズ一撃で株価は2倍強に。12日に発表した今2022年6月期第1四半期では、売上高が前年同期比84%増、営業利益が同7.7倍。驚異の伸び率を受け、発表翌日から2日連続ストップ高買い気配になりました。フィギュア製品では「にじさんじ」関連が好調で、直営店舗限定商品などを売り出す戦略もハマったようです。

 また、19日には「フレームアームズ・ガール」シリーズの世界累計出荷数が200万個を達成したと発表して一段高に。利益率の高いオリジナル商品の販売が好調で、第2四半期以降にも期待が高まる状況。株価水準は変貌しながらも、いまだ予想PER(株価収益率)は14倍台と割安感十分な水準です。

2 田中化学研究所(4080・ジャスダック)

 車載用リチウム電池など向けの正極材料を手掛ける同社株が、決算発表を材料にして一躍人気銘柄に。決算発表自体は10月26日でしたが、発表から11月末まで圧巻の上昇トレンドを形成しました。決算発表翌日10月27日から11月末まで、23営業日のうち下落したのは6営業日だけ。この短期間で株価は2倍強となりました。

 前月10月26日に発表した中間決算時に、今期の営業利益予想を大幅増額。製品の主原料であるニッケル、コバルトの価格が上昇したことによる在庫の評価改善が寄与しました。また、自動車大手がEVとハイブリッド車を合わせた電動車の割合を引き上げる方針を示していたこともあり、EV市場の拡大メリット銘柄として触手が伸びたようです。

3 リビン・テクノロジーズ(4445・東証マザーズ)

 決算サプライズ分の消化だけで、株価は2倍強に変貌。決算発表直前の株価は3,000円でしたが、発表翌日から2日連続ストップ高買い気配に。こうなると3日目は上限値幅の4倍拡大が適用されます。全株一致した18日には、高値で6,950円まで付ける場面がありました。

 同社は15日に本決算を発表、不動産査定のマッチング件数が好調に推移したことで大幅な増収増益で着地しました。前期の着地も営業利益は前期比4倍でしたが、同時に発表した今期ガイダンスも高い伸び率に。

 営業利益予想は5億円と、前期比3.6倍水準。決算サプライズ銘柄が翌日急騰する流れができていたこともあり、小型かつ低流動性(決算発表直前の売買代金は1日当たり1億円弱)銘柄だった同社株はド派手な上昇となりました。

4 アールプランナー(2983・東証マザーズ)

 業績好調で値がさ株の部類に入るマザーズ銘柄ですが、愛知県を地盤とする戸建て住宅メーカーという地味な業態で知名度も低かった銘柄です。知名度も低いと思われますが、意外にIPOしたのは今年(2021年2月)。IPO直後に付けた高値6,000円を、10月下旬にようやく上回ったばかり、そんな状況でした。

 株式需給が好転してきた矢先、同社は19日に1対4の株式分割をすると発表しました。もちろん目的は、弱点だった流動性の向上。

 とはいえ、理屈的には企業価値に一切関係ない株式分割ですので、発表翌日から2日連続ストップ高になったのは驚きでしたが…。マザーズ市場で短期マネーの回転が効いていた時期だったこともあり、材料に対してオーバーアクション気味に反応。なお、株式分割自体は2022年1月末となっています。

5 シーズメン(3083・ジャスダック)

 前月に続いて“メタバース関連株”としてランクイン。新奇性が高かった株式市場の新テーマ「メタバース」(ネット上の仮想空間という意味の造語)。個人投資家に広まったタイミングと併せて、メタバースファッション事業に参入すると発表していたのが同社でした。

 アメカジ系のアパレルメーカーが本業の同社にとって、収益寄与が大きい新領域というわけでもなさそうですが…。

 とはいえ、流動性が低く、低位の超小型株。何でもいいからメタバース関連でもうけたい! といった短期マネーの受け皿になったわけですが、物色対象になるには受け皿としては小さ過ぎ…。需給ギャップで株価は想像以上の急騰劇に。

 ただ、買っていたのは信用取引の個人投資家ばかり(当たり前ですが)。東証が9日から信用規制をかけると発表すると、同日から3日連続で20%以上の下落率を記録する、壮大な“往って来い”相場になりました。