売買代金ランキング(5銘柄)

1 アスタリスク(6522・東証マザーズ)

 9月末上場で、直近IPOの人気ナンバーワン銘柄。独自の技術で、スマホなどのモバイル機器に搭載するバーコードリーダーの開発を手掛けています。技術力の高さを裏付ける話題としては、ファーストリテイリングのユニクロ店舗で導入されているセルフレジ。これの特許裁判で勝訴した会社として上場前から有名でした。

 11月前半に人気が沸騰したきっかけは、株価好調下で5日に発表した株式4分割でした。鉄は熱いうちに打てと言いますが、まさにIPO直後の株価好調下での発表は火に油を注ぐ格好で…。

 16日に付けた上場来高値は、わずか1カ月半前のIPO時初値の4.6倍に! ただ、分割後は株価が下落し、トドメ的に売り材料になったのが30日寄り前に発表した決算説明資料でした。実際に会社IRページで資料を見ていただくのが早いのですが、その掲載内容を失望して売りが殺到する格好に。

2 グローバルウェイ(3936・東証マザーズ)

 今年の瞬間最大上昇率のトップ銘柄(7月21日安値→11月2日高値まで瞬間最大60倍‼)。

 9月の株式5分割から始まり、11月3日に3分割…そして17日大引け後には12月4日を効力発生日とする株式2分割を発表しました。

 暗号資産タイムコインの売却益による上方修正を発表する程度で本業のこれといった買い要素もないなか、株式分割と同社会長の各務氏(ツイッター上では自称“破壊神カカムーチョ”)によるSNS上での買いあおりで、これほど株価が上がったのも衝撃でしたが…。

 ただ、そんな壮大な仕手株のピークは同月2日で、3カ月強にわたる大相場もピークアウト。東証による信用規制などもありますが、決定的な下落理由は、前述の各務氏による同社株の大量売却の発覚です。

 12日時点で発行済み株数の53%強を保有していた各務氏は、26日時点で同42%程度に保有比率が減少。散々ウェイウェイとあおっておいて、売った後はグッバイウェイ…これって許されるんでしょうか?

3 FRONTEO(2158・東証マザーズ)

 マザーズの人気トップ銘柄としての地位を一層固めたFRONTEO。同社から途切れることなく発信されるIRリリース、これは11月も健在でした。IRリリースを好感して高値切り上げを続けながら、迎えたのが15日の中間決算発表。

 リーガルテックAI事業の好調を理由に、2022年3月期の業績予想を営業利益で従来予想12億円から18億円へ大幅増額しました。翌16日にストップ高すると、25日にはスズケンとのライフサイエンスAI事業での業務提携発表で翌26日はまたストップ高。この日に付けた上場来高値は5,300円でした。この時点で年初来8.6倍に…。

 そんなFRONTEOに、こんなクライマックスが待っているとは誰も想定していなかったはず。この日の引け後に東証が信用規制を発表すると、翌日下落で始まり、そのままストップ安に…。

 そして月末30日と12月1日は2日連続ストップ安売り気配となり、全株一致したのが12月2日。全株一致した値段は2,557円で、わずか4営業日前に付けていた上場来高値の半値以下です。

 個人の信用買いで作られた大相場だったとはいえ、増担保だけでこれほど下落した事例は過去になかったはず。短期前提の個人信用組の関与率が上がり、機関投資家の関与率が下がった日本のグロース市場を象徴するような現象でした。

4 フェローテック(6890・ジャスダック)

 中国の電力不足の影響などが警戒され9月に急落するも、中国の全工場で稼働が正常化したことをリリースしたことで10月は急反発。その勢いをもって11月も上値を切り上げ、12日に中間決算を発表しました。

 このタイミングで、通期の営業利益予想を従来予想の200億円から225億円に増額。アナリスト予想も上振れ、翌15日は14%高と強い反応に。上場来高値4,695円を付けたのは19日でした。

 天にも昇らんばかりのモメンタムを作っていた矢先の22日引け後、ちゃぶ台返しのネガティブ材料が…。公募増資と株式売出で最大222億円の資金調達を発表、発行済み株数の約14%相当です。この発表一発で、11月の上昇分を全部帳消しに。調達資金の用途はほぼ設備投資となっているため成長投資、機関投資家は好みそうですが、既存株主には青天のへきれきとなりました。

5 そーせい(4565・東証マザーズ)

 年初来でマイナス圏に停滞していた同社株ですが、待望のビッグニュースで月後半に急騰。材料一発で年初来プラスに浮上しました。同社は22日、米バイオ企業のニューロクライン・バイオサイエンシズと統合失調症など精神疾患の治療薬開発でライセンス契約を締結したと発表。

 この契約自体で契約一時金を1億ドル(110億円強!)受領するほか、開発や販売の進展次第では最大26億ドルの開発マイルストーンを受け取れるそうです。

 このビッグディールを受け、一部国内証券では目標株価を3,000円から3,400円に引き上げています。契約一時金が想定を上回る水準だったこと、今期の業績予想を上方修正することが理由と。

 また、ある市場関係者は「今回の契約一時金で、来年プライム市場に選ばれる可能性が高まった」と指摘していました。