FIRE生活には日本高配当株、米国高配当株、どちらが魅力的?

 いかがでしょうか。魅力を感じる銘柄はありましたでしょうか。これら銘柄に共通する魅力は増配です。

 長期保有によって、配当利回りが上がっていくことが期待できます。また、株価上昇が期待できる銘柄もあり、増配と株価上昇で二度おいしい投資になります。

 日本と米国の高配当(増配)銘柄を5つずつご紹介しましたが、FIRE生活には「日本高配当株」or「米国高配当株」のどちらが魅力的なのでしょうか。私は、一長一短あると思います。

日本株のメリット・デメリットは?

 日本株は、配当金に対して税金面が有利で、確定申告で配当控除を受けると、多くの税金が還付されます(所得額による)。

 これは、これから与党の税制調査会で議論が始まろうとしている、金融所得課税の見直しによって30%に増税された場合、より存在感を増すでしょう。大型株で高配当株、増配株があることは魅力です。

 残念な点は、日本は少子高齢化による人口減少国であるところです。経済発展においては不利です。

 しかしながら、海外で稼ぐ企業が増えており、コロナ禍が明ければ再びインバウンド景気も戻るでしょうから、そういう銘柄を探すことがポイントだと思います。

 あとは、単元株制度により、投資にまとまったお金が必要になるケースが多い点が不満です。

米国株のメリット・デメリットは?

 それに対して、米国株は、優れた成長率と株主還元を持ち合わせています。経営者が、株価を上げようとする努力、自社株買いや増配しようとする努力は世界一といえるでしょう。

 また、米国は、人口増加国であり、それが国の成長につながります。通貨、最先端技術によるイノベーション、軍事、経済などで世界の覇権を握っている強さもあります。

 それらが、素直に株価にリンクしているといえます。

 また、日本株のような単元株制度がなく、少額から投資できるのは魅力です。

 ただし、税金面では不利なことは否めません。配当金には、米国において10%課税され、会社員には外国税額控除による節税効果がありますが、FIREすると限定的です。かつ、日本においても約20%課税され、配当控除は適用外です。金融所得課税がもし30%になれば、さらに不利になります。

高配当・増配の日米大型株メインの長期投資で賢いFIRE生活

 私の結論としては、日米をメインとする高配当株および増配株で、中でも大型株を選ぶということです。

 日米以外では、世界で稼げるビジネスモデル、もしくは、その国の中でビジネスシェアが1位である銘柄を選びます。日本にも米国にも偏らず、ひとつの銘柄を多く持たず、世界にバランスよく投資することでリスク分散するということです。

 冒頭にも記述したように、自分独自の銘柄を、中小型株の中から発掘しようとする必要はありません。そういうことをして当てれば楽しいです。テンバガー(10倍株)になれば快感です。しかし、一度それを経験できたとしても再現は厳しいでしょう。

 私も日本の中小株に投資してもうかることもありましたが、やけどをすることもありました。米国小型グロース株で1日にして焼かれたこともあります。投資に射幸性は求めないことです。

 主要銘柄に長期投資して、ほったらかす、年月を味方にして複利で運用する、これに尽きるといえるでしょう。

イラスト:いぢちひろゆき

桶井 道(おけいどん)さんプロフィール
会社員生活25年間で約1億円の資産を築き、2020年秋にFIRE達成。投資歴23年の現在は、投資家兼執筆家としてブログ「おけいどんの適温生活と投資日記」のほか、各種メディアにも寄稿。投資先は日米を主に、世界17カ国・地域の増配株および高配当株、一部成長株にも投資する「地球儀投資」。父親の介助、子ども食堂のボランティアもしている。初の著書『今日からFIRE! おけいどん式 40代でも遅くない 退職準備&資産形成術』(宝島社刊)が好評。
Twitter:@okeydon