今週の予想

2万9,200~3万円のボックス相場続くか

 今週の日経平均株価は、引き続き「近くて遠い3万円」が続きそうです。休日の23日をはさんでおり、3万円回復は難しいといえます。米国株式3指標が、それぞれ最高値更新となっても、日本市場は追随しません。買い主体の外国人投資家が、日本の政治に対して懸念をもっているためです。

 岸田文雄政権が19日(金)、財政支出が過去最大の55.7兆円となる経済対策を発表しました。発表前日の18日は、この報道を受けて一時大きく上昇しましたが、すぐに売りに押されてしまいました。

 今週は、改めて大規模な経済対策が上昇のキッカケになるかどうかが注目です。新聞の見出しは「分配柱、事業規模78.9兆円」とありますが、外国人投資家がこの経済対策に反応しないのは、資本市場が嫌気する「分配」を強調しているためだといわれています。分配にお金を回すということは、投資家の取り分が少なくなるということを意味しますので、岸田政権の経済対策を評価していないということになります。

 また、「金融所得税の強化」が再び頭をもたげてきたことも、投資家の警戒感を抱かせているといわれています。外国人投資家が安心して投資できるよう、岸田政権が分配の前に成長政策を明確に打ち出さない限り、株価は目先の3万円を超えてもさらに大きく上昇する期待がもてなくなります。

 今は、2万9,000~3万円のレンジ内で推移するボックス相場ですが、8月20日の2万6,954円を底に10月6日の2万7,293円、10月25日の2万8,472円、11月11日の2万9,040円と下値は着実に切り上げています。

 そう考えると、11月下旬を迎え新型コロナの感染が収束に向かい、企業業績は上方修正が多く、過去最大の経済対策も発表されたことから、上昇が期待されるところです。

 チャートでは、日足の25日移動平均線(19日時点2万9,302円)や10月6日の安値2万7,293円から続く支持線(2万9,700円近辺)を下値とする上昇基調を保っており、今週ぐらいは「近くて遠い3万円」をクリアできそうです。