繰り上げ返済前に必ずチェック3
「期間短縮」と「返済額変更」の違いを把握
「繰り上げ返済」か「積み立て投資」かの比較では、まず繰り上げ返済によってどのくらい利息額が減少するか確認が必要です。
ローンの残存期間が長ければ長いほど支払う利息額も大きくなりますが、繰り上げ返済の方法によっては、減少する利息額も大きく変わります。
返済方法には、「返済期間短縮」と、「毎月の返済額減少」の2つがあります。
では、どの程度違いが出るかシミュレーションします(ローンの返済方法によっても金額は変わるが、ここでは元利均等方式で計算)。
ローンの残存期間が33年、金利0.5%の借り入れで、100万円を繰り上げ返済した場合
繰り上げ返済方法 | 軽減する内容 | 減少する利息額 | |||
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返済期間の短縮をした場合 | 返済期間短縮:9カ月 | 17万6,690円 | |||
返済金額の変更をした場合 | 返済額減少:毎月2,746円 | 8万4,784円 | |||
注:金融広報中央委員会の知るぽると「繰り上げ返済シミュレーション」より、筆者計算 |
毎月の返済額は変わらないものの、「返済期間短縮」の方が大きく利息額が減少します。もし余裕資金を繰り上げ返済ではなく投資に回すのであれば、ローンの残存期間中に減少する利息額よりも、利益が多く得られなければ意味がないことになります。
繰り上げ返済前に必ずチェック4
住宅ローン控除への影響を確認
住宅ローンを組む方なら住宅ローン控除はご存じでしょう。契約年度によって控除の計算方法に違いはありますが、おおよそローン残高の1%が10年間にわたって税額から控除されます(ただし多くの場合、対象のローン上限は4,000万円、または2,000万円)。
住宅ローン控除は所得控除ではなく、税額控除なので非常に大きなメリットです。
このため繰り上げ返済前には、残りの住宅ローン控除適用年数から出した合計控除額と、減少する利息額とを比較して、どちらにメリットがあるか検討するとよいでしょう。