(1)習近平の目標は毛沢東超え

 習氏が肩を並べようとしているのは毛沢東であるということ。用語以外に各指導者の時代に言及した字数は、毛沢東5,565字、鄧小平617字、江沢民279字、胡錦涛212字(これ以外に鄧、江、胡3氏が統治した時代をまとめて描写した部分に2,718字)、習近平1万9,555字。

 歴史決議は習氏が自らの政権正統性を強化するために採択する決議であり、字数を多く割くのは当たり前といえば当たり前。しかし、先週のレポートでも示唆した通り、中国には実質的に、毛沢東、鄧小平、習近平という3人の歴代最高指導者しかいないこと、そして自らは鄧氏ではなく毛氏に近く、今後の展開次第では毛氏をも超える指導者になるのだという強い意志を感じさせる。

(2)中国はますます「中国化」

 中国共産党あっての中国であり、「マルクス主義の中国化」を意味する中国独自の社会主義を堅持し、闘争の結果として、中華民族の偉大なる復興という強国への道を習近平新時代でつかみ取ろうとしている。

(3)改革開放は進めるが、価値観は一層かい離

 政治体制やイデオロギー、発展モデルがますます「中国化」する傾向にある中、それでも改革開放を堅持していかなければ中国は政治、経済を含めて国際社会とは共存できないと考えていること。

 そんな中国が定義、追究する自由、法治、民主主義といった価値観は西側諸国における普遍的価値観とは似て非なるものである。これが「市場とはどうあるべきか?」をめぐる中国―他国間のギャップにもなる。

習近平が文化大革命を完全否定!天安門事件の評価は?

 政権3期目突入をもくろむ習氏ですが、中国共産党内部でのバランス感覚、特に強権的な習氏の政治スタイルや政権運営に疑問を投げかける「見えない政敵」への配慮が、「歴史決議」全文に示されていたことは、特筆に値します。例を挙げて解説します。