日本株に残る3つの不安

 米国株に比べると日本株の上値が重いことは否めません。日本株を動かしている外国人投資家から見て、以下3点が不安材料となっています。

【不安1】中国恒大の信用不安・中国景気悪化リスク

 中国景気が悪化すれば、米国にもマイナス影響は及びますが、中国経済とのつながりの深さから、日本への影響の方がより大きくなると考えられています。

【不安2】岸田政権が打ち出す政策への不安

 衆院選で自民が絶対安定多数を獲得したことは、政権安定を評価する外国人投資家にとって安心材料となりました。ただし、岸田政権が打ち出している政策への違和感はまだ残っています。

 伝統的な自民党の政策とやや力点が異なり、所得再分配を前面に押し出している点です。資本主義の構造改革や成長戦略を重視してきた、伝統的な自民党と軸足がずれているように見えるところが、外国人投資家の買いを呼び込みにくくなっています。

 これからどれだけ資本主義の構造改革を重視した政策を遂行できるかが、注目されています。特に注目が高いのが、日本が遅れているDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進です。デジタル庁の活性化でどれだけリーダーシップが発揮されるか、注目されています。

 また、これから内閣支持率がどう推移するかも注目されています。衆院選で勝った勢いを維持して政権基盤を一段と強化していけるか、あるいは2006~2012年のような短命政権時代に逆戻りするか、内閣支持率の推移に注目が集まります。

歴代内閣と、日経平均の動き:2001年4月小泉内閣発足から2021年10月岸田内閣発足まで

出所:各種資料より楽天証券経済研究所が作成

【不安3】日本にオールド企業が多いと思われていること

 9月中間決算の発表時に、利益予想を大幅に引き上げる企業が増えていますが、それでも利益予想を引き上げた企業の株価の動きが良くありません。外国人の目から見て、オールド産業と見られていることから、業績が好調でも株価が買われにくくなっています。

 具体的に言うと、海運・鉄鋼・大手総合商社などが、業績見通しを大幅に引き上げ、PER(株価収益率)や配当利回りから見て、とても割安に見える株価となっていますが、それでも利益確定売りに押されて、株価が上昇しにくくなっています。

 象徴的だったのは、5日(金)14時に9月中間決算を発表した三菱商事(8058)の値動きです。