具体的方法

 現在のような超低金利の環境下では、株式と債券の組み合わせによる分散効果が従前のようには働かない。

 端的にいって、リスク資産での運用は、国内株式と外国株式のインデックスファンドの組み合わせで十分だ(概ね国内:海外=4:6くらいがリスクとリターンの効率がいい)。

 リスクを取りたくない資産は、金利上昇リスクと銀行の経営リスクを考えると、個人向け国債の変動金利10年満期型がいい。

 運用商品は、手数料の安いインデックスファンド(ETFがいい)を2本と、個人向け国債の変動金利10年型の3つを知っていれば、それで十分だ。

 他の運用商品をあれこれ知るよりも、NISA(少額投資非課税制度)とDC(確定拠出年金)の効率的な使い方を知る方が有意義で効果が大きい。

 NISA、DCの使い方については、この連載でも何回か書いてきたが、例えば近刊拙著「難しいことは分かりませんが、お金の増やし方を教えて下さい」(山崎元、大橋弘祐著、文響社)に運用の簡便法と共に分かりやすく書いたつもりなので、宜しかったらご参照頂きたい。

【コメント】

 2015年の記事だが、現在の考え方と差はない。生命保険でも運用商品でも、売り手側が「ストーリー」を提示することによって、顧客に手数料の高い商品を売ろうとする構図は同じだ。個人の側は警戒すべきだ。本文でも取り上げている「ゴールベースド・アプローチ」などは、その種のセールスのたちの悪いテクニックの集大成なので大いに警戒してほしい。対面営業のセールスマンが提示する「ストーリー」に気を付けよう。(2021年10月31日 山崎元)