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「2月決算」小売業の決算総括最高益多い(窪田)
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

「2月決算」小売業の決算総括最高益多い(窪田)

2017/4/20
小売業大手には最高益を更新する企業が多い。専門店・コンビニ・ドラッグストアなどが好調。一方、総合小売業(百貨店・大手スーパー)は不振。国内コンビニは成長余地が徐々に縮小してきている可能性も。セブンイレブンは、米国で利益成長を続けるビジネスモデルが確立できており、有望。
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執筆:窪田真之

今日のポイント

  • 小売業大手には最高益を更新する企業が多い。専門店・コンビニ・ドラッグストアなどが好調。一方、総合小売業(百貨店・大手スーパー)は不振。
  • 国内コンビニは成長余地が徐々に縮小してきている可能性も。セブンイレブンは、米国で利益成長を続けるビジネスモデルが確立できており、有望。

(1)業績好調の2月決算小売業

これから3月決算の発表が本格化しますが、一足先に、2月決算小売業の決算が出揃いました。小売業には2月決算が多数あります。

人口が減少する日本で、小売業は停滞産業のイメージがあります。ところが、実際には、大手小売業には最高益更新企業が多数あります。

2月決算小売業時価総額上位12社の連結経常利益:2017年2月期実績と2018年2月期会社予想

(金額単位:億円)
No コード 銘柄名 2017年2月期
(実績)
前期比 最高益 2018年2月期
(会社予想)
前期比 最高益
1 3382 セブン&アイHLDG 3,644 4.1% 3,850 5.7%
2 9843 ニトリHLDG 876 16.7% 1,000 14.2%
3 8267 イオン 1,874 4.3%   1,900 1.4%  
4 8028 ユニー・ファミリーマートHD 593 14.4% 409 -31.1%  
5 2651 ローソン 730 4.9% 655 -10.3%  
6 7453 良品計画 386 18.0% 425 10.2%
7 8227 しまむら 501 23.0% 577 15.1%
8 2670 エービーシー・マート 429 1.6% 434 1.3%
9 3086 J.フロント リテイリング 444 -7.3%   447 0.6%  
10 8273 イズミ 357 14.7% 387 8.4%
11 8233 高島屋 372 -1.5%   375 0.8%  
12 3141 ウエルシアHLDG 257 26.2% 281 9.2%

(出所:各社決算短信より楽天証券経済研究所が作成、
ユニー・ファミリーマートと、Jフロントは、2018年2月期からIFRS採用。)

上記銘柄の株価バリュエーション:2017年4月19日

No コード 銘柄名 株価【円】 PER【倍】 配当利回り 最小投資額【円】
1 3382 セブン&アイHLDG 4,579.0 23 2.0% 457,900
2 9843 ニトリHLDG 14,850.0 24 0.6% 1,485,000
3 8267 イオン 1,621.5 91 1.9% 162,150
4 8028 ユニー・ファミリーマートHD 6,310.0 33 1.8% 631,000
5 2651 ローソン 7,380.0 22 3.5% 738,000
6 7453 良品計画 24,900.0 23 1.3% 2,490,000
7 8227 しまむら 15,420.0 15 1.5% 1,542,000
8 2670 エービーシー・マート 6,280.0 18 1.9% 628,000
9 3086 J.フロント リテイリング 1,570.0 15 2.0% 157,000
10 8273 イズミ 5,570.0 15 1.2% 557,000
11 8233 高島屋 1,006.0 16 1.2% 1,006,000
12 3141 ウエルシアHLDG 3,500.0 24 0.9% 350,000

(注:PERは株価を今期1株当たり利益(会社予想)で割って算出。配当利回りは今期1株当たり配当金(会社予想)を株価で割って算出。最小投資額は、19日の株価で最小投資単位を購入するのに必要な金額、最小投資単位は高島屋のみ1,000株で他は100株)

上の表でわかる通り、2月決算小売業の時価総額上位12社のうち、9社が前期に最高益を更新しました。その内7社が、今期、さらに最高益を更新する見通しです。小売業が成長産業であることがわかります。

以下の通り、好調組と不調組に、分かれています。

好調組

  • 海外で成長:セブン&アイ(コンビニ)、良品計画(無印良品)など
  • 専門店(カテゴリーキラー):ニトリ(家具・住居製品)、シマムラ(カジュアル衣料品)、エービーシー・マート(靴)、ウエルシア(ドラッグストア)
  • 地域ナンバー1:イズミ(広島中心のスーパー)

不調組

  • 百貨店:Jフロント(大丸・松坂屋・パルコ)、高島屋
  • 大手スーパー:イオン

成長の踊り場

  • 国内主体のコンビニ:ローソン(成長のための投資でコスト増)
  • コンビニと大手スーパーが経営統合:ユニー・ファミリーマート(統合コストがかかる)

(2)個別銘柄のコメント

小売業では、総合小売業(百貨店・大手スーパー)が不振で、コンビニ・ドラッグストア・専門店が好調の図が鮮明です。百貨店・スーパーは、アパレル・雑貨分野では専門店に、食品や日用品分野はコンビニやドラッグストアに売上を奪われる傾向が鮮明です。

セブン&アイHLDG

内外コンビニの成長により、経常最高益の更新が続いており、投資価値は高いと判断しています。国内では、3大コンビニ(セブンイレブン・ローソン・ファミマ)を中心に集約が進んでいます。特にセブンの強さがきわだっています。ただ、いずれ国内だけでは成長の限界が来ると考えられます。セブンは、海外でも稼げるビジネスモデルを確立していることが強みです。国内コンビニの成長余地が徐々に縮小する中、今後は、米国セブンイレブンの成長が加速すると考えられます。

セブン&アイの足を引っ張ってきたスーパーストア事業(イトーヨーカ堂)と百貨店事業(そごう西武)のリストラが進んできたことも、注目できます。通販事業(ニッセン)の赤字が続いていることが問題ですが、いずれここでも抜本的な対策を打ち出していくことになると考えられます。

ニトリHLDG

今期で31期連続増収増益を達成する見込み。業績絶好調だが、株価は上昇が続いてきて高値圏にあるので、ここから投資する妙味はあまり高くないと考えています。

イオン

小売り(スーパーストア)事業は不振が続いていますが、金融事業・不動産事業の利益が成長し、イオン全体の利益を支えています。成長性は見込めないものの、金融・不動産を含めたベースで安定的に利益を生んでいく力はあると考えています。株主優待で個人投資家に人気の銘柄です。値上がり期待はあまりありませんが、株主優待目当てで長期投資するのに、特に問題があるとは考えていません。

ユニー・ファミリーマートHD

ファミリーマートに、旧ユニーグループのコンビニ事業(サークルK・サンクス)を加えると、店舗数でローソンを抜き、国内コンビニでは、セブンについで第2位となります。ただし、当面は統合コスト(看板つけかえ)などにコストがかかり、店舗数が増えたメリットを得るには時間がかかりそうです。ファミリーマートは、セブンイレブンと同様に海外進出は進んでいますが、セブンのように海外で高い収益を得るビジネスモデルはできていません。

ユニーは大手スーパーとして、なんとか収益性を維持していけると考えられますが、コンビニ・ドラッグストア・専門店に売上を奪われる構造は変わらず、苦戦が予想されます。

コンビニ事業が再成長するまで、利益は踊り場になると考えられます。コンビニ事業で統合効果が大きく出てくるのが確認できるまで、投資は慎重に考えた方がいいと思われます。

ローソン

前期は経常最高益を更新したが、今期は、持続的な事業モデル構築のための投資増が響いて、減益となります。具体的には、今期、新規事業で約20億円、看板替えで約25億円、次世代システム構築で約40億円のコストが発生します。ただし、今期を踊り場として、来期以降、再び成長が続くと予想されます。予想配当利回りが3.5%と高めで、利回り株として投資するのに適していると思います。

ちなみに、国内店舗数で、ユニー・ファミマに抜かれますが、ユニー・ファミマはブランド統一に時間がかかるので、実質的にはローソンがセブンに次ぐ国内第2位の強みを持つことは変わりありません。

ローソンの問題は、海外進出が遅れていることです。前期決算のセグメント別利益を見ると、国内コンビニが593億円の営業利益を稼ぐのに対し、海外事業は28億円の営業赤字となっています。買収した高級スーパー成城石井は69億円の営業利益で貢献しています。

J.フロント リテイリング(大丸・松坂屋・パルコ)

本日(4月20日)、旧松坂屋銀座店と、周辺地域を一体開発してつくりあげた、銀座地区で最大の商業施設GINZA SIXが開業します。売場面積は47,000平方メートルで、初年度売り上げ目標は600億円です。

銀座中心に中国人の爆買いブームが続いていれば、もっと注目されるはずでした。爆買いブームが沈静化した後での開業となりましたが、開発に制約のある銀座地区でGINZA SIXに匹敵する商業施設はもう作ることはできないと考えられますので、J.フロントにとって非常に重要な戦略拠点であることには違いありません。

1人の観光客が大量に買い物をする爆買いブームは去り、昨年、インバウンド(訪日外国人観光客)の買い物はマイナスに転じました。ただし、外国人観光客の数は、順調に拡大していることから、1-3月には、J.フロントの免税店売上は前年比で再びプラスに転じてきています。

積極経営で、百貨店で生き残りとなると考えられます。ただ、都心店は堅調ですが、地方店は厳しい状況が続いています。専門店やコンビニとの競合で苦戦する状況は変わらないので、GINZA SIX開業など、短期的な話題で株価が上昇することはあるかもしれませんが、百貨店株は、長期投資には向かないと考えています。

訪日外国人数の推移:2011年1月―2017年3月

(出所:国際政府観光局(JNTO))

今期からJ.フロントは、会計基準でIFRSを採用します。売上計上基準がIFRSと国内基準では大きく異なります。IFRS採用で、見かけ上の売上高は6割近く減少しますが、実態は変わりません。消化仕入方式の売上を計上できなくなることが、見かけ上の売上高減少に響きます。

IFRSになると、利益の計上方法もいろいろ変わります。のれんの償却がなくなる、特別損益の計上が認められなくなるなどの、影響があります。

詳しく勉強されたい方には、拙著「IFRSで企業業績はこう変わる」(日本経済新聞出版社)をお勧めいたします。

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